『キングダム』原作漫画には王騎の副官として騰(とう)という人物が登場し、映画では要潤が演じているが、騰の名は『史記』にも見られる。実在の武将ではあるが、王騎との関係は一切不明。騰が姓なのか名なのかすらわかっていない。王騎の副官という設定もまた、作者である原泰久の創作である。
ちなみに蒙ゴウの活躍については『史記』に詳しいが、ヒョウ公については王騎と同様、具体的なことが一切わからない。ヒョウ公は通称で本名は別にあったと思われるが、これまた解明の手掛かりなし。原作では常に前線にあったから、都でも彼について詳しい者が少ないとの設定になっており、これまた原泰久の巧みさに数えられよう。
※ゴウ=左上に「敖」、右上に「攵」、下に「馬」/ヒョウ=「鹿」の下に部首の「れっか」
【プロフィール】しまざき・すすむ/1963年、東京生まれ。歴史作家。立教大学文学部史学科卒。旅行代理店勤務、歴史雑誌の編集を経て現在は作家として活動している。著書に『ざんねんな日本史』(小学館新書)、『春秋戦国の英傑たち』(双葉社)、『眠れなくなるほど面白い 図解 孫子の兵法』(日本文芸社)、『いっきにわかる! 世界史のミカタ』(辰巳出版)、『いっきに読める史記』(PHPエディターズ・グループ)など多数。