パワハラ上司にもこれは同様で、「そういった言い方をされるいわれはない」「そんなに怒鳴ったり、嫌味な言い方をしないでほしい」と訴える。“ウチはウチ、ヨソはヨソ精神”を持つことが、相手に言い負かされないコツだ。

◆ハラスメントは第三者へ投げて撃退

 職場でのパワハラだけではなく、いまやハラスメントを行ってくる人はどこにでもいる。例えば家庭内でのモラルハラスメントや、学校・仲間内でのイジメだ。モラルハラスメントは当事者に深刻なダメージを与えるものだが、家庭内で行われているために解決が難しく、何十年と苦しみを抱えながら生活している人も数多くいる。

 イジメやモラルハラスメントも起こる原因はパワハラ上司と部下との関係と同じで、加害者が「こいつは加害してもいい人間である」という歪んだ認知を持っていることが原因だ。
そしてモラルハラスメントやイジメの場合、起こっている場所が家庭や学校という密室の為、パワーバランスが覆しにくく解決が難しい。その場合、有効なのは第三者に投げてしまうことだ。

 例えば先ほど、解決が難しいクレームは弁護士へ委任することにしたコールセンターの例を紹介したが、長年オペレータに対し延々とクレームを繰り返してきた顧客であっても、弁護士が相手になった途端とにおとなしくなり、電話をしてこなくなることは珍しくない。
今まで散々クレーマーが好き勝手できたのは、オペレータが言い返せない弱い立場だということに付け込んでいたからなのだ。だから違う立場の第三者が介入した途端、牙を抜かれたようにおとなしくなる。パワーバランスが覆らない場合、問題を解決してくれる第三者を介入させることが有効だ。

◆◆◆

 私は現在もコールセンターで働いており、今回はコールセンターを例に出して説明をした。けれど、時代とともに社会の状況は変わりつつあり、これからはコールセンター以外の仕事でも、ただ立場的強者からのハラスメントに泣き寝入りするのではなく、相手に正しく言い返す、反撃するといったスキルが必要になってくる空気を感じている。それは、今まで我慢するしかなかった立場の人たちにとっては明るいニュースだと思う。今まで我慢するしかなかった・言い返せなかった社会から、理不尽なことには「NO」と言える社会にみんなで変えていこう。

【榎本まみ(督促OL)】
新卒で入社した信販会社で支払延滞顧客への督促を行うコールセンターに配属される。多重債務者や支払困難顧客から怒鳴られながらお金を回収する日々の中、心を病んで次々に辞めていく同僚を見て一念発起、クレームや罵詈雑言をプラスに変えてオペレータの心を守る独自メソッドを開発。クレジットカードの回収部門では300人のオペレータを指示し、年間2000億円の債権を回収する。督促やお金に関する4コマを描いたブログ「督促OLの回収4コマブログ」はアメーバブログの4コマランキング1位を獲得。著書に「督促OL修行日記」(文藝春秋)など。

督促OL 修行日記 (文春文庫)

関連キーワード

関連記事

トピックス

ロッカールームの写真が公開された(時事通信フォト)
「かわいらしいグミ」「透明の白いボックス」大谷翔平が公開したロッカールームに映り込んでいた“ふたつの異物”の正体
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《白パーカー私服姿とは異なり…》真美子さんが1年ぶりにレッドカーペット登場、注目される“ラグジュアリーなパンツドレス姿”【大谷翔平がオールスターゲーム出場】
NEWSポストセブン
和久井被告が法廷で“ブチギレ罵声”
【懲役15年】「ぶん殴ってでも返金させる」「そんなに刺した感触もなかった…」キャバクラ店経営女性をメッタ刺しにした和久井学被告、法廷で「後悔の念」見せず【新宿タワマン殺人・判決】
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、初の海外公務で11月にラオスへ、王室文化が浸透しているヨーロッパ諸国ではなく、アジアの内陸国が選ばれた理由 雅子さまにも通じる国際貢献への思い 
女性セブン
几帳面な字で獄中での生活や宇都宮氏への感謝を綴った、りりちゃんからの手紙
《深層レポート》「私人間やめたい」頂き女子りりちゃん、獄中からの手紙 足しげく面会に通う母親が明かした現在の様子
女性セブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン