5月場所の鬼門はこの力士
組み止められて長い一番になると勝率は極端に下がる。貴景勝の取組時間を分析すると、5秒以内だと勝率64.2%だが、20秒超えでは36.4%だった。四つに組める上位陣にも負けが込みがちだ。
長い相撲は勝率が激減
わかりやすいのが先場所11日目の横綱・白鵬との取組だ。頭で当たった貴景勝が何度も突き放そうとするが、白鵬が左右の張り手でしのぎながら右四つに組み止めると、即座に上手投げで仕留められた。白鵬は優勝会見でこの取組にわざわざ触れ、「それなりに四つ相撲も覚えないといけないな」と余裕の“アドバイス”をしてみせた。貴景勝が今後横綱を狙う上での大きな課題なのだ。
ただし、まったく活路がないわけではない。土俵上にも時代の流れがある。幕内の決まり手を見ると平成元年(1989年)は、最も多い「寄り切り」が全体の34.9%、続く「押し出し」が16.9%だったのが、平成30年(昨年)は「押し出し」(25.1%)がトップで、「寄り切り」(23.9%)を上回っている。
「力士の大型化もあって、御嶽海、北勝富士ら突き押し相撲の上位力士が増えた。小兵ではあるが、貴景勝の今後は“平成までの常識”だけでは見通せないでしょう」(協会関係者)
前例を覆して“新常識”を作り出す日本人横綱の誕生をファンは待ち望んでいる。
※週刊ポスト2019年5月17・24日号