国際情報

安倍─金正恩会談 実現しても金づるにされるだけとの声

金正恩委員長は安倍首相との会談に乗り気ではない?(写真/朝鮮通信=時事)

金正恩委員長は安倍首相との会談に乗り気ではない?(写真/朝鮮通信=時事)

 米朝首脳会談が物別れに終わり、再び短距離弾道ミサイルを発射するなど威嚇を続ける北朝鮮。そんな渦中で、日本は安倍晋三首相が「条件をつけずに北朝鮮と対話する」と表明するなど、小泉純一郎首相以来3回目となる日朝首脳会談に意欲を見せている。だが、本当に「安倍─金正恩会談」は実現するのか。朝鮮半島問題研究家の宮田敦司氏がレポートする。

 * * *
 安倍首相が北朝鮮の金正恩委員長との首脳会談に意欲を見せている。しかし、北朝鮮は安倍首相との日朝首脳会談を歓迎していない。簡単に言えば、日本から一方的に要求を突き付けられるばかりで一文の得もない会談、つまり「手土産」なしでの訪朝を北朝鮮は歓迎していないのだ。

 日本は過去に2回、日朝首脳会談を行っている。本稿では2002年と2004年の小泉首相の金正日総書記との会談に対する北朝鮮の本音を、朝鮮労働党機関紙『労働新聞』と、筆者が入手した北朝鮮軍の内部文書(全軍の兵士に思想教育を行うための資料)から見てみることにしたい。

◆第1回日朝首脳会談「白旗を掲げて訪問」(2002年9月17日)

 小泉首相の1度目の訪朝について、北朝鮮軍内でどのような思想教育が行われていたのか、朝鮮人民軍出版社が2002年10月に発行にした内部文書「変遷する情勢に高い階級的眼目と革命的原則性をもって鋭く対応しよう」から抜粋する。

〈さる9月17日、敬愛する最高司令官同志にお目にかかるために、日本の総理野郎が白旗を掲げて平壌にやってきた〉(2002年9月の小泉首相の訪朝について)

〈今回の日本の総理野郎の平壌訪問は、日帝が1945年8月15日に偉大な首領様の前にひざまずいたように、再び白旗を掲げてわが国を訪れ、敬愛する最高司令官同志の前にひざまずいて、降伏文書に調印したのと同じだ〉(日朝平壌宣言について)

 このように、事実を歪曲した教育が北朝鮮軍の兵士に対して行われた。なお、首脳会談で金正日総書記が日本人拉致を認め、謝罪したことについては、『労働新聞』も内部資料も触れていない(9月26日に北朝鮮メディアとしては初めて、国営『朝鮮中央通信』が日本人拉致の存在を認めた)。

 この内部文書が出てからも、『労働新聞』は連日行っている対米非難だけを続け、対日非難は行わなかった。北朝鮮軍とは異なり、朝鮮労働党は日朝関係をそれなりに重視していたのだろう。

 しかし、11月9日から「日帝の極悪な朝鮮人連行制度の犯罪性(1)」という連載を開始し、これ以降、対日非難が続いた。これには、11月になって、日本へ「一時帰国」した拉致被害者5人を北朝鮮へ送り返さなかったという背景がある。

関連記事

トピックス

各地でクマの被害が相次いでいる(左・共同通信)
《熊による本格的な人間領域への侵攻》「人間をナメ切っている」“アーバン熊2.0”が「住宅街は安全でエサ(人間)がいっぱい」と知ってしまったワケ 
永野芽郁の近影が目撃された(2025年10月)
《プラダのデニムパンツでお揃いコーデ》「男性のほうがウマが合う」永野芽郁が和風パスタ店でじゃれあった“イケメン元マネージャー”と深い信頼関係を築いたワケ
NEWSポストセブン
多くの外国人観光客などが渋谷のハロウィンを楽しんだ
《渋谷ハロウィン2025》「大麻の匂いがして……」土砂降り&厳戒態勢で“地下”や“クラブ”がホットスポット化、大通りは“ボヤ騒ぎ”で一時騒然
NEWSポストセブン
声優高槻かなこ。舞台や歌唱、配信など多岐にわたる活躍を見せる
【独占告白】声優・高槻かなこが語る「インド人との国際結婚」の真相 SNS上での「デマ情報拡散」や見知らぬ“足跡”に恐怖
NEWSポストセブン
人気キャラが出現するなど盛り上がりを見せたが、消防車が出動の場面も
渋谷のクラブで「いつでも女の子に(クスリ)混ぜますよ」と…警察の本気警備に“センター街離れ”で路上からクラブへ《渋谷ハロウィン2025ルポ》
NEWSポストセブン
クマによる被害
「走って逃げたら追い越され、正面から顔を…」「頭の肉が裂け頭蓋骨が見えた」北秋田市でクマに襲われた男性(68)が明かした被害の一部始終《考え方を変えないと被害は増える》
NEWSポストセブン
園遊会に出席された愛子さまと佳子さま(時事通信フォト/JMPA)
「ルール違反では?」と危惧する声も…愛子さまと佳子さまの“赤色セットアップ”が物議、皇室ジャーナリストが語る“お召し物の色ルール”実情
NEWSポストセブン
9月に開催した“全英バスツアー”の舞台裏を公開(インスタグラムより)
「車内で謎の上下運動」「大きく舌を出してストローを」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサーが公開した映像に意味深シーン
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(クマの画像はサンプルです/2023年秋田県でクマに襲われ負傷した男性)
《コォーってすごい声を出して頭をかじってくる》住宅地に出没するツキノワグマの恐怖「顔面を集中的に狙う」「1日6人を無差別に襲撃」熊の“おとなしくて怖がり”説はすでに崩壊
NEWSポストセブン
「原点回帰」しつつある中川安奈・フリーアナ(本人のInstagramより)
《腰を突き出すトレーニング動画も…》中川安奈アナ、原点回帰の“けしからんインスタ投稿”で復活気配、NHK退社後の活躍のカギを握る“ラテン系のオープンなノリ”
NEWSポストセブン
真美子さんが完走した「母としてのシーズン」
《真美子さんの献身》「愛車で大谷翔平を送迎」奥様会でもお酒を断り…愛娘の子育てと夫のサポートを完遂した「母としての配慮」
NEWSポストセブン
11歳年上の交際相手に殺害されたとされるチャンタール・バダルさん(21)千葉県の工場でアルバイトをしていた
「肌が綺麗で、年齢より若く見える子」ホテルで交際相手の11歳年下ネパール留学生を殺害した浅香真美容疑者(32)は実家住みで夜勤アルバイト「元公務員の父と温厚な母と立派な家」
NEWSポストセブン