中古マンション市場も状況は似たようなものだ。指定流通機構であるレインズに登録されている1千戸規模のマンションの売り出し価格と成約価格を比較すると、坪単価にしておおよそ1割弱の乖離が見られるケースが多い。つまり、売り出し価格のままでは売れず、値引き交渉の末に売買が成立ケースがほとんどで、その値引き幅が平均で1割弱という推定が成り立つ。

 また、業界の習慣として大幅な値引きで成立した売買事例や、自社が再販用に割安で買い取った場合などは、あえてレインズに登録しない。表面的な市場価格を乱すような行為なので、意図的に伏せておくわけである。

 中古マンション市場というのは、一般の方からは見えにくい。大手不動産仲介サイトなどで表示されている売り出し物件や、評価額を表示するようなサイトで示される価格は、実態よりも1割は高くなっているというのが私の感覚だ。

 マンション市場は新築、中古ともにすでに崩壊過程の初期に達していると言える。しかし、ここから一気に崩れるかというと、そういう気配もない。リーマンショックのような大きな事件でも起こらない限り、力強い需要がないことによってジワジワと値下がりを続けるのではないか。

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