こうした制度があるため、入院保障などのついた民間の医療保険は不要とする専門家が少なくないのだ。
日本人男性の健康寿命は72.14歳。介護と正面から向き合う必要が生じるのも70代である。だがこちらも医療費同様、高額介護サービス費を利用すれば、自己負担は月2万4600円が上限となる。
さらに医療と介護がともに必要な老後世帯には、高額医療・高額介護合算療養費制度がある。
「1年間に支払った医療費と介護費の合計が一定額を超えると超過分が払い戻される制度で、自己負担上限は31万円。夫婦で合算できることが最大のメリットです」(同前)
例えば夫が長期入院して、高額療養費の上限である毎月2万4600円を払い、妻が特別養護老人ホームに入所して、高額介護サービス費の上限である毎月2万4600円を払った場合、夫婦の年間支払額は59万400円となる。
その際、「高額医療・高額介護合算療養費制度」を使えば、超過分である「28万400円」が戻ってくるのだ。ただし、同一世帯の夫婦であっても同じ医療保険に加入していないと合算できないといった条件に注意が必要だ。
介護保険では自宅をリフォームする際の補助もある。