「当初、警察から、娘は『心臓を刺され即死だった』と聞かされていましたが、本当は致命傷を負いながらも廊下まで逃げ出て、校舎の出口に向かって懸命に歩いていたことがわかったんです。あの子は、最後まで生きようとしていたんです。その姿がまぶたに浮かんできた」
本郷さんは、「悲しみと折り合いをつけるには時間がかかる」という。
「憶測に基づく報道やバッシングのコメントが、空白ができた遺族の心にすっと入り込んで、余計に喪失感を味わうことがあります。今回の事件のご遺族や被害者の方々も、その苦しみに襲われることが心配です。そうならないためにも、メディアには冷静になって正確な情報を届けてもらいたい」
悲嘆を知る人の言葉は、重く響く。
※週刊ポスト2019年6月14日号