今年も皐月賞や有馬記念を勝ったゴールドシップ(父ステイゴールド)やダービー馬キズナ(父ディープインパクト)、カレンブラックヒル(父ダイワメジャー)など、SSの孫世代が初産駒を競馬場に送り出す。
そんな中で注目したいのが、菊花賞とジャパンカップを勝っているエピファネイア。父は2年連続して年度代表馬に選出され、引退後は種牡馬としてSS産駒牝馬を中心に種付けをして活躍馬を送り出しているシンボリクリスエス。母はオークス馬シーザリオで、今年の皐月賞馬サートゥルナーリア(父ロードカナロア)もこの母親から生まれている。
そのシーザリオの父はSS産駒のスペシャルウィーク。つまり今年デビューするエピファネイア産駒を起点に考えれば、SSは『4』代前になる。血統の世界では近すぎる配合は避けるものの、4代前、5代前に同じ種牡馬がいることで、その特徴を強く伝えることができると考えられている。
これまでSSやSS産駒を父に持つ牝馬が引退して繁殖牝馬となっても、近すぎる配合を避けるため、SSの子を孫世代相手に選びにくかった。孫同士という「『3』×『3』」や、まれに「『2』×『4』」という配合も見かけるが、一般的には体質面などのリスクも高いといわれている。いっぽう「『4』×『3』」という配合は名馬を多く生み出しているといわれているのだ。
その通り、今年デビューするエピファネイア産駒には、アイスフォーリス、リトルアマポーラといったSSの優秀な孫たちを母に持つ2歳馬が相当数いる。彼らが活躍することで、SSの存在感が再びクローズアップされることになる。
●ひがしだ・かずみ/今年還暦。伝説の競馬雑誌「プーサン」などで数々のレポートを発表していた競馬歴40年、一口馬主歴30年、地方馬主歴20年のライター
※週刊ポスト2019年6月7日号