国内

『明仁天皇物語』原作者が語る明仁天皇の「孤独」と「迫力」

『明仁天皇物語』より

『明仁天皇物語』より

 今年5月1日、皇位継承が行われ、令和の時代が始まった。平成の時代を国民に寄り添いながら、“象徴”として生きてこられた明仁天皇は、上皇陛下となられた。

 戦時下で少年時代を過ごされ、史上初の民間出身のプリンセスとなる美智子さまと出会い、そして天皇になられてからは、戦争被害者の慰霊や被災地訪問など、数々の旅を重ねてこられた明仁天皇。その半生に迫ったドキュメントコミック『明仁天皇物語』が完成した。美しく繊細なタッチで明仁天皇の人生の旅路を描くのは古屋兎丸氏。原作は『ビッグコミックオリジナル』で連載中の『昭和天皇物語』(作・能條純一氏)にて脚本協力もしている永福一成氏だ。

 明仁天皇とは一体どんな天皇だったのか、過去の天皇と比べて一体何が違っていたのか――。永福氏に話をうかがった。

 * * *
――明仁天皇に関するエピソードの中で、もっとも印象的だったものは、どんなエピソードでしょうか?

永福氏:御誕生から譲位まで、どれもが印象的で一つのエピソードを選ぶのは難しいです…。

 在位中の明仁天皇について多くの人は、象徴天皇として開かれた皇室を作られた方、徹底した平和主義者、というようなイメージを持っていますよね。でも、戦前は天皇の皇嗣、次の「大元帥」として10歳くらいまで、昭和天皇と同等のいわゆる「帝王学」を授けられて育てられたということを、最近までは一般にあまり知られてなかったのではないかと思います。

 幼少時代、ずっと一人で過ごされていた頃のエピソードで、特に印象深いのは、お一人での食事、いわば「孤食」ですね。学習院初等科では同世代の生徒たちと机を並べながら昼食時は別室だったそうです。中等科に進学された後も、小金井の「御仮寓所」ではやはり一人で食事なさることが多かった。部屋に侍従が控える中で黙々と…。

 幼少期から青年期まで親許を離れ、ずっと食卓は一人。考えるだけで胸が詰まります。いや、一般人には想像を絶する孤独ですよね。後に「日本国と国民統合の象徴」となるお方が、家族のだんらんとは程遠い世界に置かれていた。戦前の天皇制について考えさせられるエピソードです。

 戦後日本の国家体制の変換を経て、皇太子として新しい皇室の在り方を模索されていく中で、ご自身で学ばれ考え抜かれていく過程のエピソードにも大変興味深いものがあります。それらの一端はできる限り漫画の中で描いたつもりですので、ぜひご覧になってください。

『明仁天皇物語』より

『明仁天皇物語』より

関連記事

トピックス

米倉涼子(時事通信フォト)
「何か大変なことが起きているのでは…」米倉涼子、違約金の可能性を承知で自らアンバサダー就任のキャンセルを申し出か…関係者に広がる不安がる声
NEWSポストセブン
大阪・関西万博を視察された天皇皇后両陛下(2025年10月6日、撮影/JMPA)
《2回目の万博で魅せた》皇后雅子さまの気品を感じさせるロイヤルブルーコーデ ホワイトと組み合わせて重厚感を軽減
群馬県前橋市の小川晶市長(共同通信社)
「ドデカいタケノコを満面の笑顔で抱えて」「両手に立派な赤ダイコン」前橋・小川晶市長の農産物への“並々ならぬ愛”《父親が農民運動のリーダー》
NEWSポストセブン
萩生田光一元政調会長が幹事長代行へ起用(時事通信フォト)
《SNSで非難轟々》“裏金議員”萩生田光一氏が党執行部入りの背景 永田町関係者が明かす“総裁選での暗闘”と「香水がとてもいい香り」の珍評価
NEWSポストセブン
巨人の阿部慎之助監督(左)とDeNAの三浦大輔監督
セ2位DeNA・三浦監督は勇退で3位巨人・阿部監督は続投でいいのか? 御意見番・広岡達朗氏は「三浦は偉い」「阿部は三浦が辞めた意味すらわかっていないんじゃないか」
週刊ポスト
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(共同通信)
《やる気スイッチ講師がわいせつ再逮捕》元同僚が証言、石田親一容疑者が10年前から見せていた“事件の兆候”「お気に入りの女子生徒と連絡先を交換」「担当は女子ばかり」
NEWSポストセブン
“ATSUSHIものまね芸人”として活動するRYO
【渦中のRYOを直撃】「売名じゃない」橋幸夫さん通夜参列で炎上の“ATSUSHIものまね芸人”が明かした「反省」と「今後」…「100:0で僕が悪者になっている」との弁も
NEWSポストセブン
滋賀県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月7日、撮影/JMPA)
《再販後完売》佳子さま、ブラジルで着用された5万9400円ワンピをお召しに エレガントな絵柄に優しいカラーで”交流”にぴったりな一着
NEWSポストセブン
真美子さんと大谷が“即帰宅”した理由とは
《ベイビーを連れて観戦》「同僚も驚く即帰宅」真美子さんが奥様会の“お祝い写真”に映らなかった理由…大谷翔平が見計らう“愛娘お披露目のタイミング”
NEWSポストセブン
子宮体がんだったことを明かしたタレントの山瀬まみ
《山瀬まみが7ヶ月間のリハビリ生活》休養前に目撃した“スタッフに荷物を手伝われるホッソリ姿”…がん手術後に脳梗塞発症でICUに
NEWSポストセブン
歴史ある慶應ボート部が無期限で活動休止になったことがわかった(右・Instagramより)
《慶應体育会ボート部が無期限活動休止に》部員に浮上した性行為盗撮疑惑、ヘッドフォン盗難、居酒屋で泥酔大暴れも… ボート部関係者は「風紀は乱れに乱れていた」と証言
NEWSポストセブン
京都を訪問された天皇皇后両陛下(2025年10月4日、撮影/JMPA)
《一枚で雰囲気がガラリ》「目を奪われる」皇后雅子さまの花柄スカーフが話題に 植物園にぴったりの装い
NEWSポストセブン