「菅官房長官が否定したのはもちろんのこと、複数の外務省幹部も“あり得ない”と一斉に口を揃えました。これまでにも、トランプ大統領の奔放な発言はたびたび報じられたが、日本政府のスタンスは一貫して静観の構えだった。しかし今回は“火消し”に躍起になった。それほど今回の報道はこの国の安全保障の根幹を危うくさせるものだった」(全国紙政治部記者)
さらにダメを押すかのようにトランプ大統領は6月26日に放送された米テレビ局「FOXビジネス」のインタビューでも、日米安保への不満を口にした。
〈もし日本が攻撃されれば我々は第3次世界大戦を戦うことになり、命を懸けて日本を守る。しかし、もし我々が攻撃されても日本は我々を助ける必要はまったくない。彼らはソニー製のテレビでそれを見るだけだ〉
東京で安倍晋三・首相とゴルフや相撲観戦に興じた、わずか1か月前の蜜月ぶりは何だったのか──そう思えてしまうほどの、突き放した物言いだった。
トランプ大統領の突然の“変節”は何を意味するのか。外交のスペシャリストたちが、本誌の取材に独自の考察を示した。
「この発言の背景には“ホルムズ海峡”がある」
そう指摘するのは、外交ジャーナリストで作家の手嶋龍一氏。