「安倍首相がイランを訪問中の6月13日、ペルシャ湾とオマーン湾を結ぶホルムズ海峡で日本のタンカーが攻撃を受けて炎上しました。米国政府はイランの革命防衛隊による攻撃と断定して非難しましたが、日本は態度を明確にしなかった。こうした姿勢にトランプ大統領は不満を募らせたのではないか」
実際、6月24日にトランプ大統領はツイッターで日本と中国を名指しし、〈なぜ、我々が他国のために無償で航路を守っているのか。これらの国は、危険な旅をしている自国の船を自ら守るべきだ〉と綴って物議を醸していた。
◆「ブラフ」ではなく「本音」
とはいえ、日米安保条約はアジアにおける米国の軍事戦略の要でもある。日米同盟が危うくなれば米国にとってもデメリットは大きい。そこにわざわざ踏み込む理由は何なのか。
産経新聞ワシントン駐在客員特派員の古森義久氏は、トランプ発言を「6月28、29日に大阪で開かれたG20に向けた揺さぶりの意味もあった」と見る。
「米国の安全保障にとっても、日米同盟は大きな役割を持っている。もちろん即座に破棄するつもりはないが、トランプ大統領がより互恵的な関係を望んでいることは確かです。また、一番の“親米国”である日本への揺さぶりを通して、アメリカが同盟を結ぶ他の国々についても牽制する狙いがあったのではないか」