国内

生鮮食品の賞味期限、冷凍や加工で延長 卵にも注意を

卵は賞味期限以上に「温度」に要注意(写真/PIXTA)

 できるだけ新鮮な食品を購入したいということで、買い物の際に賞味期限をチェックする人も多いだろう。しかし、賞味期限や消費期限は、一度決めた期限を何度変更しても法律的に問題がない。そのため、スーパーの精肉では、チルドで販売した後、賞味・消費期限直前に冷凍して、再販売されていることも少なくない。

 食品安全教育研究所代表の河岸宏和さんが指摘する。

「賞味・消費期限が切れる直前に精肉を凍らせ、再び解凍して、新たな期限をつけて再販売する事例もあります。菌は繁殖していないので期限内であれば衛生上問題はありませんが、肉の旨み成分であるドリップはその過程で抜けきっているので、おいしくない。期限が近いにもかかわらず割引していない店は、再加工に回している可能性が高いので要注意です」

 賞味・消費期限の切れた精肉は、総菜の材料として使い回しされていることがほとんどだという。

「激安スーパーなどでは、期限が切れた鶏肉にたれをつけて『焼肉用』などと再加工し、さらに売れ残ると、熱を通してから揚げにするケースもあります。さらに売れ残った場合は、『から揚げ弁当』として売ることもある」(河岸さん)

 加熱しているので安全とはいえ、その裏側を知ると気分のいいものではない。精肉が総菜に使い回しされているかどうか知りたい場合は、店員に遠慮せず尋ねてほしい。

◆店の外に積まれた特売の卵は買ってはいけない

 卵の賞味期限は、年間を通して「2週間」とされているが、実際の賞味期限は季節によって違う。食品学博士で食品ロス問題ジャーナリストの井出留美さんが解説する。

「日本卵業協会の公式サイトによると、卵の賞味期限は夏期で産卵後16日以内、春秋期で25日以内、冬期で57日以内とされています。これは、安心して“生食”できる期間です。賞味期限を過ぎても、75℃以上で加熱調理すれば問題なく食べられます」

 しかし、必ずしも加熱した方が生食より安全と過信するのは禁物だ。食品の保存・加工を研究する元東京農業大学教授の徳江千代子さんはこう話す。

「生卵の卵白には、菌を分解する『リゾチーム』という酵素が多く含まれ、殺菌作用があります。しかし、加熱するとリゾチームが失われ、腐敗が早くなる。賞味期限内の卵でも、加熱調理した場合は、その日のうちに食べた方がいい」

 調理済みのゆで卵を購入した場合は、生卵のように賞味期限後に日持ちしないので注意したい。そして、今の季節に卵を買う際、最も注意したいのは販売の仕方だ。

「25℃以下の店内で売っている場合は問題ありませんが、『特売品』として、外に並べられていたり、精肉店などで直射日光が当たる場所にさらされている場合は、賞味期限にかかわらず完全にアウトです」(河岸さん)

※女性セブン2019年7月25日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン