第8話「向寒の候」より。単行本では鮮やかなフルカラーで収録されている
この描写を見て、ある衝動に駆られました。私もぜひ、海を見て銭湯に浸かりたい。そして、私ならそのまま「トラとミケ」に行って飲みたい。「海→銭湯→居酒屋」のコースを名古屋でやってみたい!と。だって、お風呂上がってビールを飲んで、串カツに赤味噌ですよ。さっぱりした後に、こってりしたごはんとビール。夢のような組み合わせだと思いません?
でも、駅舎の中に銭湯があるのは昔ならでは。きっと今では幻のコースですね。
そんなこんなで、また食べ物の話に戻ってしまいましたが、読んでいると、あれが食べたい、これがしたいと食欲も好奇心も湧いてきます。美味しさと優しさの詰まった物語でした。
【Profile】
料理編集者・ツレヅレハナコさん●1976年生まれ。食と酒と旅を愛する編集者。著書に『女ひとりの夜つまみ』『ツレヅレハナコの揚げもの天国』など。
※女性セブン2019年7月18日号