スポーツ

話題の新種牡馬ドゥラメンテとモーリス 売れ行き好調なのは

セレクトセールでは今年も高額馬が続出した

 競馬ファンの楽しみは馬券を当てることだけではない。競走馬に出資したりPOGに参加したりすることで“ブラッド・スポーツ”の深奥に触れられる。となれば、種付けの状況や幼駒の取引にも興味が広がる。競馬歴40年のライター・東田和美氏が指摘する。

 * * *
 社台、サンデー、GⅠ(クラブ)の募集が一段落。セレクトセールも終わった。馬の価格はもちろん血統だけではなく、実際の出来や、セリの人気なども関係してくる。だが、これからの成長度合いが未知数な1歳馬ならば、とりあえず価格で比べることで何かが見えてこないだろうか。また、これから行われる他のクラブの1歳馬募集の参考にもなるはずだ(セレクトセールではさらに消費税や保険料が加算されるが、ここでは落札価格との比較にしている)。

 まずはディープインパクト産駒。セレクトセールではミッキークイーンの全弟「ミュージカルウェイ」(の18=以下生年は省略)が3億6000万円、サトノクラウンの半弟「ジョコンダⅡ」が2億6000万円、シャケトラの半妹「サマーハ」が2億1000万円、ベストウォーリアの半弟「フラーティシャスミス」が2億円と、日本のGⅠを勝った馬の弟妹が高額で落札されており、ある意味「わかりやすい」結果が出ている。

 これに対しクラブのほうのディープ産駒の募集馬では、アルアインの全弟「ドバイマジェスティ」(1億2000万円)、フィエールマンの全妹「リュヌドール」(7000万円)がGⅠ馬の弟妹。セレクトセールの結果を見ればかなり安いと思えないだろうか。クラブ募集馬のプロフィールを見ると「半姉が英仏マイルGⅠ」とか「母が米GⅠ含む5勝」とか「母が米2歳牝馬チャンピオン」が大半。ディープ産駒は合わせて22頭もいるが、母親が日本で競走生活を送ったというのは1頭もいなかった。サンデーサイレンスの血を持たず、それでいてディープインパクトのお相手ができるほど活躍したヤマトナデシコはいないということなのか。頑張れ!内国産牝馬。

 ただディープ産駒に関しては、ここ2、3年、クラブでは必ずしも人気集中とはなっておらず、1億円超の馬は敬遠される傾向にある。今年も叔父にロックオブジブラルタルがいるという「インナーレルム」や、半姉が英仏のマイルGⅠを勝っているという「カルティカ」は満口になっていない(7月15日現在)。これは会員がコストパフォーマンスを冷静に分析した結果のようだが、しかし「いらない!」と断言するほどでもない。懐が許せば、いまからだって追加出資したいはずだ。悲しいかな、これが一口会員の一口会員たる所以なのだろう。セレクトセールに上場されていたら、どうだったか。

 キングカメハメハ産駒は社台グループのセレクトへの上場馬がわずか5頭だったためか、2頭が2億円超え、ほかの3頭も6000万円以上だった。一方、クラブはジェンティルドンナの半弟「ドナブリーニ」が1億円とディープなみ。当歳のキタサンブラック産駒がセレクトに上場され1億6000万円とやや微妙な落札価格だったが、17年産のディープ牝馬が3憶7000万円だったことを鑑みれば、2億超え、いや3億超えすらあったのではないか(7月15日現在、まだ残口がある・・・・)。そのほか6000万円の「アメリ」や「リッスン」、4000万円にとどまったエアグルーヴの血を引く「グルヴェイグ」や最優秀2歳牝馬「レーヴディソール」なども、セレクトに上場されていたら今年の雰囲気からして1億円を超えたのではないかと思ってしまう。

 ロードカナロア産駒の1億円超が3頭、ハーツクライ産駒は2億円超が2頭というセール結果が、クラブ募集馬のリーズナブル感をさらに際立たせている。「ポルトフィーノ」や「ハッピーパス」の父親もこの世代はロードカナロア。キングカメハメハが種牡馬を完全引退し、来年からは高騰が予想されるが、今年はきわめて一口クラブ的な金額に落ち着いている。ハーツクライ産駒も最高4000万円と、これも魅力的な募集価格だ。

関連記事

トピックス

2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
卓球混合団体W杯決勝・中国-日本/張本智和(ABACA PRESS/時事通信フォト)
《日中関係悪化がスポーツにも波及》中国の会場で大ブーイングを受けた卓球の張本智和選手 中国人選手に一矢報いた“鬼気迫るプレー”はなぜ実現できたのか?臨床心理士がメンタルを分析
NEWSポストセブン
数年前から表舞台に姿を現わさないことが増えた習近平・国家主席(写真/AFLO)
執拗に日本への攻撃を繰り返す中国、裏にあるのは習近平・国家主席の“焦り”か 健康不安説が指摘されるなか囁かれる「台湾有事」前倒し説
週刊ポスト
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン
パーキンソン病であることを公表した美川憲一
《美川憲一が車イスから自ら降り立ち…》12月の復帰ステージは完売、「洞不全症候群」「パーキンソン病」で活動休止中も復帰コンサートに懸ける“特別な想い”【ファンは復帰を待望】 
NEWSポストセブン
「交際関係とコーチ契約を解消する」と発表した都玲華(Getty Images)
女子ゴルフ・都玲華、30歳差コーチとの“禁断愛”に両親は複雑な思いか “さくらパパ”横峯良郎氏は「痛いほどわかる」「娘がこんなことになったらと考えると…」
週刊ポスト
話題を呼んだ「金ピカ辰己」(時事通信フォト)
《オファーが来ない…楽天・辰己涼介の厳しいFA戦線》他球団が二の足を踏む「球場外の立ち振る舞い」「海外志向」 YouTuber妻は献身サポート
NEWSポストセブン
海外セレブも愛用するアスレジャースタイル(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
「誰もが持っているものだから恥ずかしいとか思いません」日本の学生にも普及する“カタチが丸わかり”なアスレジャー オフィスでは? マナー講師が注意喚起「職種やTPOに合わせて」
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「旧統一教会から返金され30歳から毎月13万円を受け取り」「SNSの『お金配ります』投稿に応募…」山上徹也被告の“経済状況のリアル”【安倍元首相・銃撃事件公判】
NEWSポストセブン