そして話題の新種牡馬2頭──ドゥラメンテとモーリスに関しては、両極端の結果が出た。
ドゥラメンテ産駒は、なじみのない繁殖牝馬が多かったにもかかわらずクラブ募集ではすべて満口。昨年のセレクト当歳市場では、GⅡ勝ち「アイムユアーズの18」が1億8000万円と突出していただけだったが、今年の1歳馬市場では3頭が1億円超え。
一方のモーリスは、クラブでは「ブエナビスタ」「ジェンティルドンナ」「ドナウブルー」をはじめとして、実績抜群の繁殖牝馬との間に生まれた産駒が綺羅星のごとく並び、募集馬見学ツアーでは、どの馬にもたくさんの人だかりができていた。サンデーサイレンスが曽祖父にあたるため、サンデー系種牡馬を父に持つ牝馬の「相手」として歓迎されたのだろう。マイルに加えて天皇賞(秋)まで勝った速さと強さに期待したいところだ。
昨年のセレクト当歳でも「ラスティングソングの18」が1億7000万円で、他にも7000万円台が2頭。デビューを来年に控えて、ますます人気になるのかと思われたが、今年のセレクト1歳市場では、最高が「クロノジストの18」の5200万円。他の上場馬もリザーブ価格との差もそれほど大きくなく、セリが活発だったという印象もない。社台グループの看板繁殖牝馬産駒がクラブのほうで数多く募集されたことも一因だろうが、初年度産駒が期待ほどの成長を見せていないということを日本のトップ・オーナーたちが実感している可能性はないだろうか。今年モーリス産駒に出資が決定した会員にとっては、少し気になるところではある。
●ひがしだ・かずみ/今年還暦。伝説の競馬雑誌「プーサン」などで数々のレポートを発表していた競馬歴40年、一口馬主歴30年、地方馬主歴20年のライター。