「今ある場所から命一つで抜け出し、抜け殻には一切執着しないのが秀男。捨てたものは捨てたものと、思うよりも先に言葉にし、その言葉を真に変える強さが、私は彼女の美しさの最大の理由だと思う。尤も本人に聞いても『バカね、そんなこと考えるヒマ、なかったわよ』って、笑い飛ばされちゃうんですけど(笑い)」

〈嘘は秀男にとっての真実だった〉〈心だの気持ちだの、あやふやなものにかたちを与えるために言葉はある〉と言って、理想の美だけに執着する新生〈カーニバル真子〉の続編は、近々にも連載予定とか。人を恨まず、神すらも許す、その大きさ優しさに、確かに男も女もない。

【プロフィール】さくらぎ・しの/1965年釧路生まれ。高校卒業後、裁判所職員を経て結婚。出産後、釧路出身の作家・原田康子も参加した『北海文学』同人に。「原田康子に刺激を受けるノブヨを書くことで、私自身、10代をやり直した感もあります」。2002年「雪虫」でオール讀物新人賞を受賞しデビュー。2013年『ラブレス』で島清恋愛文学賞、『ホテルローヤル』で直木賞。他に『氷平線』『硝子の葦』『起終点駅(ターミナル)』『裸の華』『氷の轍』『ふたりぐらし』等。160cm、B型。

構成■橋本紀子 撮影■国府田利光

※週刊ポスト2019年8月2日号

緋の河

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