最後は『さらば愛しきアウトロー』。ロバート・レッドフォードの俳優引退作品だ。レッドフォード扮するのは、16回の銀行強盗と脱獄を繰り返した実在のアウトロー。紳士的な態度と鮮やかな手口は、彼を追う刑事も魅了していく。
50年前の『明日に向って撃て!』を彷彿とさせる、どこか懐かしい香りがするこの作品は、往年のスターが映画ファンにくれた最後の愛のプレゼントともいえる作品になった。
輝くような二枚目だったレッドフォードが、80歳を過ぎて深いシワを顔に刻んでいる。このシワを見るだけで、映画を一本みたような満足感があった。一映画ファンとして、彼の俳優人生に、愛と感謝を贈りたい。
●かまた・みのる/1948年生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業後、長野県の諏訪中央病院に赴任。現在同名誉院長。チェルノブイリの子供たちや福島原発事故被災者たちへの医療支援などにも取り組んでいる。著書に、『人間の値打ち』『忖度バカ』など多数。
※週刊ポスト2019年8月16・23日号