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止まらない百貨店離れ 地方の「年金経済」はいよいよ終焉

「大沼」は米沢店を閉店して山形市内にある本店(写真)に経営資源を集中させる

「大沼」は米沢店を閉店して山形市内にある本店(写真)に経営資源を集中させる

◆止まらない百貨店の閉店

 2019年にすでに閉店したか、あるいは閉店が予定されている百貨店は、全国で16店舗。さらに2020年に閉店することが発表になった店舗も2店舗もある(以下、新聞報道などから筆者作成)。

【2019年】
・さとう 西舞鶴駅前店/2019年1月27日閉店
・棒二森屋/2019年1月末閉店
・井筒屋コレット/2019年2月28日閉店
・一畑百貨店 出雲店/2019年2月末閉店 (小型のサテライト店)
・岩田屋久留米店 新館/2019年3月21日閉店
・大丸山科店/2019年3月31日閉店
・中三 青森店/2019年4月30日(一時閉店。複合商業施設内で営業再開予定)
・井筒屋 黒崎店/2019年5月末閉店
・ONUMA大沼 米沢店/2019年8月15日閉店予定
・大和 高岡店/2019年8月25日閉店予定
・ヤナゲン大垣本店/2019年8月31日閉店予定
・ヤナゲンFAL店大垣市 /2019年9月28日閉店予定
・山交百貨店/2019年9月30日閉店予定
・伊勢丹 府中店/2019年9月30日閉店予定
・伊勢丹 相模原店/2019年9月30日閉店予定
・さとう 福知山駅前店/2019年秋閉店予定
【2020年】
・新潟三越/2020年3月22日閉店予定
・東急東横店/2020年3月31日閉店予定

 山形市にも全盛期の1970年代には大沼を含め大型店7店舗が軒を連ね、賑わった時期もあった。しかし、1990年代に入ると各家庭の自家用車保有率が上昇したことと、郊外に大型店舗が出店したことで、次々と山形市中心部の大型店舗が撤退していき、最後に残っているのが大沼だったのだ。

「大沼の本店が閉店するようなことになれば、山形県から百貨店がなくなる。百貨店がない県というのは、さすがに納得がいかない人も多いだろう」と県内の60歳代の中小企業経営者は話す。

 長らく都市中心部の集客施設であり、都市文化や芸術文化を紹介する施設でもあった百貨店は、都市のシンボル的存在でありつづけた。それだけに地元住民の思い入れも強い。閉店が続く百貨店がある各都市では、中心市街地の一層の衰退を懸念する声も多い。しかし、これだけの百貨店の閉店は、単に一都市あるいは一企業の問題だけではなく、都市構造、流通構造の変化が急激に進みつつあることを示している。

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