挺対協の理事長として長く慰安婦問題に取り組んで来た金文淑氏
挺対協(現・日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯)は慰安婦問題を支援している韓国の市民団体。日本大使館前に少女像を設置し、水曜日デモを主催している団体としても有名だ。尹美香氏は同団体の代表で、慰安婦問題では韓国内で最も影響力があるとされる女性である。金文淑氏は厳しい口調でこう語った。
「そもそも挺対協は尹貞玉(ユン・ジョンオク)先輩と私で始めた団体だったの。尹美香はそのときは使い走りよ。彼女が代表になってからの挺対協は金儲け一途になってしまった。全てカネ、カネ、カネ。水曜日デモで募金をかき集め、世界中から寄付を集める。慰安婦たちも『私は英雄よ』というような振る舞いをするようになってしまった。立派な着物を着て、カメラの前でパフォーマンスをする。このように慰安婦を変えてしまったのも、尹美香や挺対協なの。そんな姿勢に耐えられなくて、私は彼女らとは縁を切ったのよ」
慰安婦問題において、最大の障害となっているのが挺対協だと言っても過言ではないだろう。2015年の日韓合意によって設立され、慰安婦問題の解決を目指した「和解・癒やし財団」は、挺対協の激しい反対運動によって解散に追い込まれたことは記憶に新しい。
金文淑氏は釜山出身の文在寅を批判することはなかったが、彼の支持層である挺対協ら市民団体には強い憤りを持っているようだ。
「少女像は闘争のシンボルじゃないのよ。だから少女像の周りで大騒ぎするだけの市民団体は大嫌い。私たちの願いは平和、もう戦争をしないこと。少女像は、本当は平和の象徴であるべきなのよ」(同前)
●取材・文/赤石晋一郎(あかいし・しんいちろう)=「FRIDAY」「週刊文春」記者を経て今年1月よりフリーに。南アフリカ・ヨハネスブルグ出身。
※週刊ポスト2019年8月30日号