弘前温泉養生医院院長の柳澤道朗医師が解説する。
「脂肪、筋肉、血管、神経、リンパ管などの柔らかい組織にできた腫瘍を『軟部腫瘍』と呼び、その中で悪性、つまり“がん化”しているものの代表格が『軟部肉腫』です。大腿部の内側にできることが多いのですが、頭から足までの全身にどこでも生じうる腫瘍です。
進行すると肺をはじめとした内臓や骨に転移しやすい。発症率はあまり高くはありませんが、多くの場合で痛みはないため、放置してしまうケースは少なくない」
静岡県立静岡がんセンターの調査(2015年)では、軟部肉腫が肺に転移したあとの5年生存率は65.7%。このように、命を脅かすことまであるわけだが、同じような「しこり」でも、その背景にある病気は千差万別だ。
「すぐ治療するべきしこり」と「慌てなくてもいいしこり」の違いを見分ける必要がある。
※週刊ポスト2019年9月6日号