コンビニエンスストア業界は、今まさに「曲がり角」を迎えている。代名詞だった「24時間営業」の限界が露呈しつつあり、各社が新たに乗り出したスマホ決済サービスでは最大手・セブン-イレブンの「7pay(セブンペイ)」が開始早々に終了を余儀なくされるなど、試練が相次いでいる。
大手3社の一角、ファミリーマートはこの状況をどう受け止めているのか。伊藤忠商事からユニクロに転じ、その後は経営支援会社立ち上げを経て、ファミリーマートのトップに──そんな異色の経歴を持つ澤田貴司・社長(62)に訊いた。
──このインタビューでは「平成元年(1989年)に何をしていたか」を最初に伺っています。
澤田:私は1981年から1997年まで16年間、伊藤忠商事に在籍していました。入社から12年は化学部門のトレーダーで、平成元年当時は流通小売業とはまったく無縁でしたね。
転機になったのは1991年、当時セブン-イレブン・ジャパンの親会社だった米国のサウスランド社(現・セブンイレブンインク)が日本の破産申請に当たるチャプター11を申請し、イトーヨーカ堂と伊藤忠とで救済買収したことです。その特命メンバーとして、なぜか畑違いの僕が抜擢されました。
いきなり流通小売の事業経営に向き合うことになったわけですが、米国のセブン-イレブンを視察した当時のイトーヨーカ堂の社長伊藤雅俊さんが、サウスランドの首脳たちを「こんなお粗末な商品やサービスでは、加盟店、お客様双方に失礼です」と叱り飛ばすわけです。現場を理解しながら改革する姿に触れました。