ライフ

人生は「順接よりも逆説のほうがおもしろい」と鎌田實医師

諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師

 順風満帆の人生を誰もが夢に描くものだが、現実は難しい。しかし、諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師は、1歳10か月で養子として両親に迎えられたみずからの半生や、育ててくれた親の人生を振り返りながら、紆余曲折を経てあえて選び取った人生の魅力について語る。文中で登場するが、鎌田氏は「スクワット」を用いた健康法を提唱している。

 * * *
 人生は、順風満帆であるよりも、紆余曲折あったほうがおもしろい。順当に、だからこうなったという整合性のある人生よりも、苦境にもかかわらず、あえて選び取った人生にぼくは魅かれる。

 接続詞でいえば、「だから」「このため」「それゆえに」という順接ではなく、「しかし」「けれども」「それでも」「それなのに」「にもかかわらず」という逆接の文脈で語られる人生である。

 逆接の人生には、いろんな障害があるけれど、自分はこう生きたいんだという強い意思やひたむきな思いがある。

「にもかかわらず」という言葉には、どんな状況になっても、逆接で人生を展開していく力がある。

 認知症になった、にもかかわらず、認知症と生きるとはどういうことか、積極的に社会に向けて発信し続ける。進行がんで命の期限が見えてきた、にもかかわらず、家族と穏やかな日々を過ごしている。ぼくはそんな人たちの姿をたくさん目にしてきた。

 この「にもかかわらず」という生き方を最初に教えてくれたのは、父だった。父は10代で青森から上京。結婚した女性は、心臓病を抱えており、その治療費を稼ぐため必死で働いていた。

 決して、恵まれた状況とはいえない。「にもかかわらず」、訳あって実の両親と別れた1歳10か月のぼくを、養子として迎えてくれたのだ。

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン