「これをどのくらい続けると効果がでますか?」という彼女の問いに、ぼくは「だいたい2か月くらい」と答えた。
「ここが問題である。聞く力はあっても(あるか?)、私には『継続する力』が、自慢したくなるほど、ない」
2か月と聞いて、阿川さんは、自虐的な笑いで連載原稿を締めくくっている。
逆接の生き方には、「さはさりながら」という、矛盾したものを、矛盾したまま抱えていく「人間の幅」みたいなものもある。
わかっちゃいるけど……。これも、阿川さんの人間らしい逆接の人生かもしれない。
●かまた みのる/1948年生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業後、長野県の諏訪中央病院に赴任。現在同名誉教授。チェルノブイリの子供たちや福島原発事故被災者たちへの医療支援などにも取り組んでいる。著書に、『人間の値打ち』『忖度バカ』など多数。
※週刊ポスト2019年9月6日号