国内

元刑事が明かす三多摩地区の若手が担う検視の試練とは?

所轄若手刑事が直面する山での過酷な運命

所轄若手刑事が直面する山での過酷な運命

 警察や軍関係の内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た警官の日常や刑事の捜査活動などにおける驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、刑事や警察官の検視に関わる仕事の内容をレポート。

 * * *
 今クールは法医学を題材にしたドラマが2本放送されている。1つは上野樹里主演の『監察医 朝顔』(フジテレビ系)、もう1つは大森南朋主演の『サイン―法医学者 柚木貴志の事件―』(テレビ朝日系)だ。

 どちらも法医学者で解剖医を主人公にしているが、これらのドラマに欠かせないのが検視に携わる検視官や警察官だ。だが警察官が遺体を扱う実態がどんなものなのか、詳しく知る機会はあまりない。

 まず「けんし」と検索すると、“検視”と“検死”という2つの言葉が出てくるが、その違いがよくわからない。そこで警視庁の元刑事に聞いてみた。

「検視とは本来検察官が行うものだが、現状は検視官や警察官がそれに代わって、遺体の死因を確認すること。犯罪性、事件性があるかないかを判断するものだ。検死は検視、検案、解剖を含み、検案は医師が遺体を見て調べて(見分)、死因などを判断するものになる」

 この時、医師の検案によって作成されるのが死体見分調書だ。

 ドラマでは事件現場によく現れる(臨場する)“検視官”だが、全ての所轄にいるのかと思うと、そうではないという。

「検視官は警視庁本部の鑑識課に属しているが、その人数は当時で10~12人ぐらい。鑑識課に検視官室があり、昼間は全員がそこにいるが、夜間は1人が夜勤でいるだけ」

 監察医や法医学者よりもその人数は少ないのだ。増えた今でも警視庁で25名、警察庁でも検視官は357名(H29年度)しかいないが、それでも臨場率は増えたと聞く。だが、絶対数が少ないため、死体がある現場全てに出向くことはできない。

「包丁が死体に突き刺さっている、メッタ刺しにされているとか、拳銃で撃たれたとか、明らかに殺人とわかる犯罪死体の場合は、最初から検視官が現場に行く」

 検視官になるには、基本的に刑事の経験が10年以上、警察大学で法医学研究科を修了し、階級は警部か警視、その上で刑事部長から任命された者がなる。資格が与えられるのは任命された時期のみ。所轄には検視官あがりの刑事課長もいるが、刑事課長になった時点で検視官ではなくなってしまうというのだから、その人数はなかなか増えない。

「自宅で亡くなっていた、自殺かもしれないなど死因がわからず、犯罪による死亡の疑いがある変死体の場合は、まず刑事が現場に行く。そこで事件性があると判断した場合や疑わしい場合に検視官を要請することになる」

 警視庁のH29年度の死体取扱総数は20527体、そのうち検視官の臨場総数は10808件、事件臨場は10306件、解剖立会が502件だ。

 そうはいっても、検視した刑事だけで死因を判断するわけではない。

「刑事は現場を見て環境捜査を行い、遺体の細かな状況、傷やアザなどがないかを確認して写真に撮り、死因を判断する。さらに検視官にそれらを送って、その死因でよいか判断を仰ぐ」

 環境操作とは現場の周辺を調べたり、もめ事がなかったか、寝たきりだったかなどの状況を調べることだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
「パー子さんがいきなりドアをドンドンと…」“命からがら逃げてきた”林家ペー&パー子夫妻の隣人が明かす“緊迫の火災現場”「パー子さんはペーさんと救急車で運ばれた」
NEWSポストセブン
豊昇龍
5連勝した豊昇龍の横綱土俵入りに異変 三つ揃いの化粧まわしで太刀持ち・平戸海だけ揃っていなかった 「ゲン担ぎの世界だけにその日の結果が心配だった」と関係者
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト
韓国アイドルグループ・aespaのメンバー、WINTERのボディーガードが話題に(時事通信フォト)
《NYファッションショーが騒然》aespa・ウィンターの後ろにピッタリ…ボディーガードと誤解された“ハリウッド俳優風のオトコ”の「正体」
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
NEWSポストセブン