和歌山は二階氏のお膝元(写真/時事通信フォト)
二階俊博・自民党幹事長の地元・和歌山県は大阪万博前の2024年までに人工島「マリーナシティ」に誘致する計画を進め、麻生太郎・副総理兼財務相の実弟の麻生泰・九州経済連合会会長は長崎県が推進しているハウステンボスの「海中カジノ」計画をバックアップしている。
国が認可する3か所のカジノは「首都圏1」「関西1」「地方1」に分散されるという見方が有力で、従来の自民党の選び方であれば政権の実力者である菅義偉・官房長官のお膝元である横浜、二階氏の和歌山、麻生氏の九州(長崎)で分け合う発想になる。
だが、今回はそうならない可能性が高い。カジノ問題に詳しいジャーナリスト・横関寿寛氏が指摘する。
「まず有力なのは大阪。万博成功を考えると落選させるわけにはいかない。維新の会と近い菅官房長官も推しています。首都圏は横浜、そして地方では北海道が伏兵です。4月の道知事選で菅さんが擁立した元夕張市長の鈴木直道知事が誕生し、菅さんは北海道カジノを推すのではないかという見方がある」
そうなれば3か所とも菅氏の“総取り”ではないか。もちろん、二階氏や麻生氏が黙って見ているとは思えない。
◆“進次郎厚労相”のカード
3兆円利権争奪戦の行方を左右するのが内閣改造だ。そもそもカジノの所管は複数の官庁にまたがる。
自治体が申請するIR施設の建設を認可するのは観光庁を傘下に置く国交省だが、カジノ運営事業者を審査・監督するカジノ管理委員会は内閣府に置かれて官房長官が握る。エンターテインメント業界は経産省、賭博関連は警察の所管で、ギャンブルの上がりの3割は国庫に納付されるから財務省、ギャンブル依存症対策は厚労省の担当になる。