「二階さんは“ハマのドン”と称される藤木会長と昵懇の間柄で知られる。藤木さんが横浜カジノに大反対しているのは、二階さんと菅さんの代理戦争の構図にみえます」
しかも、二階氏にはまだ切り札がある。「築地カジノ」構想だ。
小池百合子・東京都知事は東京へのカジノ誘致について「IRはプラスの面も、デメリットもある。是非を検討する必要があると、常々申し上げてきた」と態度を鮮明にしていない。だが、東京五輪後の起爆剤として誘致に関心がないわけではない。
「東京都港湾局は今年6月に築地市場跡地、青海、品川~田町間のエリアの3か所を候補地として、IR誘致についての調査を大手シンクタンクに依頼し、誘致の可能性を探り始めています」(横関氏)
築地跡地に巨大カジノ建設となれば、市場規模からいっても、横浜の山下埠頭をしのぐ好立地だろう。
トランプ大統領の盟友で、元々は大阪進出を目指していた米国ラスベガス・サンズ社のアデルソン会長も、「東京か横浜」と今は名指ししており、“大本命”の東京が正式に誘致に名乗りをあげれば海外資本が雪崩を打つ可能性がある。
有利に見える横浜だが、万が一“落選”となれば菅氏の権勢に大きな傷になりかねない。それを菅氏が阻止できるか。カジノ争奪は権力の座を賭けた戦いになりつつある。
※週刊ポスト2019年9月13日号