「お化けフォーク」は敵にとっては脅威以外の何ものでもない
シーズン20勝もマークした平成ホークスの大エース。その斉藤氏は、期待を込めて辛口で後輩を鼓舞する。
「人前で努力するのは当たり前。陰でどれだけチームのことを考え努力できるか。理屈ではなく、そうするとエースの風格や佇まいがにじみ出てくる。最近はエースという言葉の重みが薄れてきていますけど、彼は本当のエースになれる器。僕なんかとは比べられないポテンシャルを秘めているんですから」(斉藤氏)
技術的な試行錯誤は続く。だが、昨季逃したリーグ優勝、そして日本シリーズV3が千賀の肩にかかっているのも事実だ。
「昨年の日本シリーズでは第1戦に指名されましたけど、それは消去法だったと思う。今年は、『頭は千賀で決まり。で、その次は?』とベンチが考えるような存在にならないといけない。(エースになるために)こうしたらいいという明確な方法論はないと思う。だから、現時点で(そのエース像が)はっきり見えてないのもある意味、間違ってはいないというか……だからこそ今は、もがいてチャレンジする姿勢を貫くことが大事だと思っています」
独自のエース像に辿り着き、確立した時、千賀を「令和の大エース」の称号が待っている。
大エースへの道を歩んでいる
視線の先にはどんなエース像があるのか
大声援をバックに力投
今季は161kmも記録
【PROFILE】せんが・こうだい/1993年、愛知県生まれ。蒲郡高3年夏の甲子園県予選は3回戦敗退。2010年、育成ドラフト4位でホークス入団。2012年に支配下選手登録され、主に救援投手として活躍。2016年に先発転向。3年連続で二けた勝利をマークするローテの柱に成長した。MAX160キロ超の速球と「お化けフォーク」が武器。2017WBCでは準決勝米国戦で好投。大会最優秀投手賞に輝く。186cm、84kg。
●撮影/本誌・藤岡雅樹 取材・文/田中周治
※週刊ポスト2019年9月13日号