「雨が続くと父ちゃんの機嫌が悪くなる。作物が病気になるって。日照り続きもそう。農家ってヤなもんだよ」と言ったのは、農業高校の同級生のKちゃんだ。
Kちゃんの夢は、都会の小さなアパートに住むこと。その夢を実現したのち、田舎に帰ってアパートのような小さな部屋で区切った家を建てた。
で、私はというと、運動会や旅行で雨に降られたことがほとんどない。てるてる坊主とは縁がなかったけれど、一度だけ雲行きが怪しい中学校の遠足の前日に、母親が下げてくれたことがある。
原因は忘れたけどその前々日かに派手な親子げんかをして、気づまりな夕飯を食べ終わると、母親は裁縫箱を持ち出した。そしておしょうゆで煮しめたような手ぬぐいで、器用に首を作ると、「ほら」と手渡された。昭和一桁生まれの母親の、精いっぱいの「ごめん」だった。
それにしても、“首を切ってしまうぞ”という内容の歌詞は、なんともショッキングなフレーズ。
昔、ある村で雨の日が続き、お坊さんがお天道様を乞う祈祷を続けたけれど、雨は一向に止まない。しびれを切らした城主がお坊さんの首を切ってしまった…という説もあるみたいね。
※女性セブン2019年9月26日・10月3日号