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「出戻り社員」の採用 企業文化を変える大きなインパクトに

 では、そもそも出戻り採用するメリットとは何なのだろうか。

 元社員の職場復帰の賛否を調査した際に、「自分が復帰する立場でも、復帰を受け入れる立場でも賛成」と答えた人のフリーコメントには、以下の声が寄せられた。

「会社側も一から教えなくても良いし、本人も一から覚えなくてもいい」
「慣れた環境のほうがストレスが少ない」
「復職制度があると、育児や介護に専念できる」
「即戦力が得られるのはいいと思う」

 出戻り採用のメリットが社内で共有され、出戻り歓迎の社内風土が構築されれば、会社と社員の関係は大きく変化しそうだ。

 まず、退職は会社と社員との一生の別れではなくなる。新たな関係性への移行に過ぎず、より大きな戦力となって戻ってくるためのステップと捉えることができる。また、将来の復帰を見据えるとなれば、時に軋轢を生んでしまいがちな退職時においても、会社と社員双方が円満な関係を継続しようと努める誘因となりえる。

 さらに、もし退職者を組織化して定期的にOB・OG会のようなものを開催すれば、一度の就職が一生の縁となり、生涯にわたって関係が継続していくことになる。

 中には、円満な形で何度も入退社を繰り返すケースもありえる。そうなれば、“出戻り”は特別なことではなくなり、出戻り採用や出戻り社員という言葉自体が使われなくなるのではないだろうか。

 一方で、辞めるかもしれない社員を自社で育てようとする意欲が削がれるのではないかという懸念もあるかもしれない。しかし、出戻り採用を推進するのであれば、会社側は“戻ってきたい会社”になるための努力を惜しんではならないはずだ。社員育成に手を抜く会社よりも、手厚く社員の育成に取り組む会社のほうが、戻りたいと思ってもらえる確率は高くなるのではないか。

 日本は、少子化傾向が続いている。15歳以上65歳未満の生産年齢人口は約20年前から減少に転じており、今後もしばらく減少の一途をたどることは、間違いない未来だ。そんな未来を見据え、人材(=人の有する才能)という貴重な資源を有効活用する施策に知恵を絞らなければならない。人材を一社で独占するのではなく、シェアする発想への転換も必要かもしれない。

 出戻り採用はそんな施策の一つとなりうる。しかし、これまでの日本の雇用慣行とは相容れない面もあるだけに、もし今後広がっていけば、日本の企業文化を変えて行くほどのインパクトを秘めていると言えるのではないだろうか。

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