長らくカジュアルのキラーコンテンツだったジーンズ

アパレル業界のドル箱アイテムとして「出せば売れる」時代は終わった

 そもそも、アメリカで炭鉱夫の労働着として生まれたジーンズは、反体制の若者のシンボルとして、次第にファッションアイテム化していった歴史があります。日本にジーンズが初めて流入したのは第二次大戦直後で、当時はアメリカから「古着」が入ってきました。その後、新品が輸入されることになり、徐々に人気が拡大していったのですが、国産のジーンズブランドが生まれたのは1960年代のことです。

 そこからジーンズは長らくカジュアルのキラーコンテンツとなり、定期的にトレンドを生み出しました。

 1970年代にはベルボトムブームが、1980年代半ばくらいにはケミカルウォッシュブーム、1990年代になると、1993年頃からレーヨンを使ったソフトジーンズが人気となり、1996年からはビンテージジーンズブームが起きました。

 ビンテージジーンズが下火になると、2000年頃から今度は股上が浅くなったローライズジーンズのブームが起き、このローライズは2015年頃までカジュアルズボンの主流を占め続けました。

 また、2005年頃からはブーツカットが大人気となり、このブーツカットで、欧米から輸入された高額ジーンズが「プレミアムジーンズ」としてブームとなりました。さらに2008年からはスキニージーンズが流行し、このスキニーブームも2015年まで続きました。

 このようにジーンズはどの年代でもブームを巻き起こしてきた“ドル箱アイテム”といえますが、注目すべきは、ローライズブーム以降はすべてレディースが牽引していることです。

 無骨なイメージが強いジーンズは「男のアイテム」でしたが、2000年頃からはレディース主体のファッションアイテムになったと考えられます。そしてこの辺りから、ジーンズチェーン店の斜陽が始まり、そこを主要得意先として納品していたジーンズ専業メーカー各社も業績を落とし始めるのです。

 レディースはもとからボトムスの選択肢がたくさんあります。スカートだけでも何種類もありますし、ズボンもメンズよりデザインの種類が豊富です。

 一方、メンズは基本的にズボンしか選択肢がないことに加え、ジーンズは上に合わせる色柄を選ばず、しわくちゃでも擦り切れても穴が開いても不格好に見えないというメリットもあり、圧倒的に男性利用者に支持されてきました。特に1996年から始まったビンテージジーンズ人気はメンズが起こしたブームです。

 しかし、メンズのカジュアルズボンも2015年以降、急速に選択肢を増やしています。

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