飛行機事故「生存率」が高いのは
この実験でも、「最も死亡率が高いのは操縦席から7列目までの前方座席」で、「生存の可能性があるのは最後列から5列目まで」という結果が出た。また、乗客が正面から受ける重力加速度(G)は前方では即死レベルの12Gだったが、後方では半分の6Gにまで低減することも判明している。運輸事故調査システムの構築に寄与した関西大学教授の安部誠治氏が解説する。
「タイム誌などのデータは、生存者がいた過去の事故で“後方座席が助かっていた場合が多い”ことを示したに過ぎません。
事故のタイプによって安全な座席はケースごとに変わってきます。ただし、レアケースではありますが、窓ガラスが破損し乗客が外に吸い出される事故も発生しているので、あえて言うなら窓側より通路側のほうがより安全といえるかもしれません」
脱出時の状況を踏まえた、別の調査結果もある。英グリニッジ大学の研究結果で、「非常口から5列目以内に座っていた乗客は生存率が上がる」というものだ。ただし、非常口までたどりついても安全が確保されるとは限らない。脱出用のスライドを滑り降りなければならないからだ。航空評論家の青木謙知氏はこんな体験を語る。
「総2階建てのエアバスA380の2階席から滑り降りる体験をしたのですが、ビルの4階ほどの高さがあって、とても怖かった。実際の非常時には前の人が尻込みして避難が遅れる可能性もある。非常時には機内の階段は使用できないので、2階エコノミー席の利用は私としては控えたい」