「Let’s Start Today」と書かれたTシャツを着た孫氏と前澤氏
──借金で困った人が会社を身売りしたって話じゃない、と。
前澤:そこがつなげやすいんでしょうね。あとは残念ながら、資本市場とか株の原理とかっていうことを、多くのみなさんは知らないので、なかなか理解されないんですよね。そこは小中学校からの教育に入れたほうがいいぐらいだと思います。いま日本も先進国の資本主義ですから、そこの知識がないまま大人になっていくのはちょっと危険ですよね。
──経済の基本的な知識が抜け落ちているんですね。
前澤:抜けてますよね。株なんていったって、よくわからないんじゃないですかね、みなさん。やっぱり資本主義を知らないですよね。こうやって経営を継承したり、株を売って次世代に託したりっていう行為に対して、特にオールドエコノミー界では、「そんな若えのに引退しやがって、創業オーナーなんだから、死ぬまで株を持ち続けて自分の子孫に相続していくべきだ」みたいな事も、思われている方はまだ多いですよね。
だけど欧米では、自分が冴えてるうちにどんどん新しいことを作って、それを自分たちより大きいところに引き継いで、さらに社会に役立つために発展させてっていうのを戦略的にやる人たちも多い。日本はなんでこうやってどんどん生産性が下がっているのかっていうと、そういう体質が残っちゃっているからなのかなとも思いました。
──会社を手放すのは無責任みたいな感じに見えちゃって。
前澤:お金も会社も循環させるのが苦手だから貯めたお金も遣えない。投資もできないし、会社も売れないし、株の流動性も低いし、資本市場が回りづらい。そんな古い考え方を持たれた方が多いんだと思うんです、特にご年配の方の中には、残念ながらまだそのような考えを持っている人も多い。
そういう意味では孫(正義)さんなんて、それこそ先日もニュースになってましたけど、あの孫さんですら自分の株式を担保に入れてお金を借りてるわけですよ。借りたお金を何につかってるかっていうと、正式には出てないですけど、おそらく僕の予想ではビジョンファンドに自分で投資してるとか、要は自分の信用の範囲でお金をたくさん借りてきて、それをグルグル回すっていうのが孫さんのやり方で、資本市場のなかにおいてはあれがベストなんですよ。
レバレッジ効かすっていうんですけど、わかりやすく言うと信用取引です。それを企業もやらなきゃいけないし、個人としてもやらなきゃいけない。まさにそれを僕は今回やったのに、これだけ叩かれて。