教科書は日本のことだらけ

 例えば、当時の大韓帝国の外交権が日本に接収され、事実上、韓国が日本の保護下になることが決まった「第二次日韓協約」(1905年)については、条約文書の写真を添えてこう記述している。

〈伊藤博文は乙巳条約(第二次日韓協約のこと)を発布したが、高宗(大韓帝国皇帝)の署名がなく、国際条約に必要な形式的条件を満たしていない。強圧的に締結されたもので、この条約は無効である〉(『高等学校 韓国史』東亜出版、カッコ内は編集部注)

 この条約の国際法上の評価を巡っては現在も専門家の間で議論が分かれているが、その議論には触れてはいない。

 日本による韓国併合(1910年)を加速させた事件として知られる安重根の「伊藤博文暗殺」についてはどうか。

〈1909年10月、安重根がハルビンで伊藤博文を殺害した〉(同前)

 わずか2行の記述で終わっている。従来、安重根を「義士」として祀り上げてきた韓国の歴史教科書にしてはあまりに記述が少ない。

「私が学んだ20年前は、写真はもちろん、その功績が細かく書かれていました。近年は併合後の記述が一層増えてきている影響で、それ以前の歴史が減っている。安重根のくだりを削ってまで、日帝時代のことを厚く書く傾向がある」(崔氏)

※週刊ポスト2019年10月18・25日号

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