ドイツのアウトバーンは通常走行レーンも時速140kmほどで流れる

ドイツのアウトバーンは通常走行レーンも時速140kmほどで流れる

 では、そうした速度無制限区間を走るのは、怖かったり難しかったりするのか? 答えはNOだ。流れはスムーズで、速度に慣れてしまえば、怖いことも難しいこともない。なぜなら、走行しているクルマのほとんどがきっちりと基本のルールを守っているからだ。

 基本のルールは簡単で日本と同じだ。

「速いクルマは追い越し車線から抜く」
「遅いクルマは走行車線、もしくは一番端の遅いクルマ用の走行車線を走る」
「追い越し車線で、他のクルマに追いつかれたら、すぐに追い越し車線からどいて速いクルマを先に行かせる」

 というもの。この基本が守られているため、追い越し車線は常に空いている、もしくはいつでも追い越しに使える状態になっている。これが流れをスムーズにする。急いでいるクルマは、どんどん先に行くし、そうでない人はマイペースに走れる。

 そして、ここでカギになるのが、「追い越し車線にいるときに追いつかれたら、すぐにどく」という行為がドイツでは徹底されていた。これが日本とドイツの大きな違いだろう。

 また、制限速度の厳守も特徴的だ。道路工事などで時速80km制限の区間になると、しっかりと速度を落とす。しかし、逆に制限速度が上がれば、その瞬間から猛烈に加速する。制限速度区間から無制限区間へと切り替わり、周りのクルマが一気に加速する様は、なかなかの迫力であるが、メリハリある走りがドイツのアウトバーンの特徴なのだ。

◆日本人目線でいえば、“あおり運転”そのものの光景も

 ただし、日本人からすると眉をひそめるような行為もたびたび目の当たりにした。それは車間距離の短さだ。

 平均速度が高いのに、ドイツ人の車間距離の感覚は日本人よりも、相当に近い。特に、追い越し車線で前走車に追いつくクルマの様子は、日本人からすれば、ほとんど“あおり運転”と思うほど。

 恐るべきスピード差で迫ってくるだけでなく、相当に近くまで車間を詰める。しかも、それが少数派ではなく、過半数のドライバーが、そうした距離感で走っている。そういう意味では、ドイツでは、それが普通の行為なのだろう。

 ちなみに、以前、フランスを走ったときも似た感想を抱いた。追い越し車線を制限速度で走っていても、後ろからくる速いクルマは車間を詰め詰めにして、パッシングもバシバシする。ただし、走行車線をゆずれば、それで終わり。文句は言うけれど、根に持たないというのが欧州風なのだろう。

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