◆投与後は水を飲ませることが大切
まず保定係が、 猫の肩甲骨を手のひらで覆うように押さえて固定する。力はさほど入れず、逃げようとしたら軽く押さえる程度でOK。
「なかには、猫の前脚を掴んで保定する人がいますが、猫は四肢を掴まれるのを嫌がります。余計に暴れて危ないのでやめましょう」(有田さん・以下同)
投薬係は、利き手とは反対の手で猫の頭を持つ。この時、親指と人差し指で猫の頬骨を支え、残りの指で後頭部を支えると固定しやすい。
その状態のまま、猫の首を斜め45度くらいまで上にそらす。そうすると、自然と猫の下顎の力が緩み、口を開けやすくなる。そして、利き手の親指と人差し指で薬を掴み、中指を使って口を開け、できるだけ舌の付け根に薬を入れる。
薬が舌に触れると吐き出すことが多いので、写真のようになるべく奥の方に入れることがポイントになるのだ。
「のみ込むまでは、しばらく鼻先を上に向けたままにします。投薬後は、薬が口の中や食道にはりつかないよう、少量の水を飲ませましょう。猫が好きなおやつに包んで与えてもいいですが、薬をのまないといけない時は、体調も悪く食欲がないことも多いため、おやつに頼らずに薬をのむ方法に慣れさせておく方がいいでしょう」
粉薬の場合は、少量の水、またはスープなど、猫の好きな液体に溶いて、注射器やスポイトで与える。頭の固定の方法は、錠剤の時と同じだが、顎を上げる必要はない。犬歯の後ろに隙間があるので、2枚目の写真のように、そこに注射器やスポイトを差し込み、ゆっくり流し込めばいい。
「どうしても1人で投薬しなくてはいけない場合は、脚の間に猫を挟むようにして保定したり、伏せの状態の猫をバスタオルなどで包み、暴れるのを防ぎましょう」
猫も飼い主もストレスなく投薬できるよう、お互い少しずつ慣れることが大切だ。
※女性セブン2019年10月24日号