スポーツ

ラグビー代表裏話、福岡のケガ克服や具の日韓関係への決意

先人の魂を受け継ぎ、日本ラグビーは「歴史の創造者」を目指す(AFP=時事)

 将来、令和元年の思い出を聞かれたら、多くの日本人が「ラグビー」と答えるだろう。ルールが複雑で、プロリーグもなく、なかなか世間に浸透しなかったスポーツが今、日本中を熱くしている。

 ラグビー日本代表が、日本で開催中のワールドカップ(W杯)で、初の決勝トーナメント進出を果たした。10月13日の1次リーグ最終戦で、強豪スコットランドを28−21で下して、4戦全勝の1位通過。初めて8強入りした。

 生中継されたスコットランド戦は、平均視聴率39.2%、瞬間最高は勝利した瞬間の53.7%。全番組で今年最高の数字である。

 リーグ第1戦のロシア戦が平均18.3%、第2戦のアイルランドが22.5%、第3戦のサモアが32.8%だったから、右肩上がりに注目度が増している。国民をシビれさせる屈強の男たちの快進撃。彼らは、人知れず犠牲を払い、人生と魂をかけて戦ってきた。

◆桜を胸に「君が代」を歌う韓国人選手

 3才からピアノを習い、グラウンドでの戦いの合間にはリラックスのためにベートーベンの『悲愴』を弾く。スポットライトの中の彼の独走トライは、その旋律のように美しかった。

 負ければ敗退濃厚、勝てば決勝トーナメント進出。命運をかけた大一番で、2トライを挙げてMVPに選ばれ、女子テニスの大坂なおみ(22才)からトロフィーを受け取ったのは、快足のウイング福岡堅樹(27才)だ。後半開始早々、相手の腕の中にあるボールを強引にもぎ取ると40mを独走し、ぶっちぎりトライを決めた。

 ただ、そんなチーム一の50m5秒8の快足は、諸刃の剣。常にケガに悩まされてきた。

 高校時代に両ひざの前十字靭帯を断裂。その不幸を、医師を目指す原動力に変えた。右ひざに埋め込まれたボルトの除去手術を、下半身麻酔をしたまま自らの目で見学し、「スポーツ整形を志すきっかけになりました」。メスを入れても、世界のトップに立てる。自らが体現して多くの患者に希望を与えたい。そして自分の手で彼らを治療したい――。

「ぼくのラグビー人生は、7人制日本代表がある東京五輪まで。その後は医師を目指して引退します」。だからこそ、試合後のインタビューでは「この時のためにすべてを犠牲にしてきた。歴史を変えられた」と胸を張った。

 ラグビーは、必ずしも日本国籍を有しなくても、「3年以上の居住」などの条件を満たせば、外国人選手でも日本代表になれる。現代表も31人中15人が外国出身だ。

 今大会に唯一出場する韓国人は、桜のジャージーを身にまとって戦う。スクラムを最前列で支えるプロップ具智元(グ・ジォン・25才)。その日は、前半21分、アクシデントでわき腹を痛めて負傷交代。悔し涙を流しながらピッチを去る姿は、「具のためにも」とチームメートをより一層奮起させた。

関連記事

トピックス

解散を発表したTOKIO(HPより)
《TOKIO解散には迷いなし?》松岡昌宏、「男気会見」で隠せなかった本音 唯一違った“足の動き”を見せた質問とは?
NEWSポストセブン
佐々木希と渡部建
《六本木ヒルズ・多目的トイレ5年後の現在》佐々木希が覚悟の不倫振り返り…“復活”目前の渡部建が世間を震撼させた“現場”の動線
NEWSポストセブン
東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
児童盗撮で逮捕された森山勇二容疑者(左)と小瀬村史也容疑者(右)
《児童盗撮で逮捕された教師グループ》虚飾の仮面に隠された素顔「両親は教師の真面目な一家」「主犯格は大地主の名家に婿養子」
女性セブン
組織が割れかねない“内紛”の火種(八角理事長)
《白鵬が去って「一強体制」と思いきや…》八角理事長にまさかの落選危機 定年延長案に相撲協会内で反発広がり、理事長選で“クーデター”も
週刊ポスト
ディップがプロバスケットボールチーム・さいたまブロンコスのオーナーに就任
気鋭の企業がプロスポーツ「下部」リーグに続々参入のワケ ディップがB3さいたまブロンコスの新オーナーなった理由を冨田英揮社長は「このチームを育てていきたい」と語る
NEWSポストセブン
たつき諒著『私が見た未来 完全版』と角氏
《7月5日大災害説に気象庁もデマ認定》太陽フレア最大化、ポピ族の隕石予言まで…オカルト研究家が強調する“その日”の冷静な過ごし方「ぜひ、予言が外れる選択肢を残してほしい」
NEWSポストセブン
佐々木希と渡部建
《渡部建の多目的トイレ不倫から5年》佐々木希が乗り越えた“サレ妻と不倫夫の夫婦ゲンカ”、第2子出産を迎えた「妻としての覚悟」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《東洋大学に“そんなことある?”を問い合わせた結果》学歴詐称疑惑の田久保眞紀・伊東市長「除籍であることが判明」会見にツッコミ続出〈除籍されたのかわからないの?〉
NEWSポストセブン
愛知県豊田市の19歳女性を殺害したとして逮捕された安藤陸人容疑者(20)
事件の“断末魔”、殴打された痕跡、部屋中に血痕…“自慢の恋人”東川千愛礼さん(19)を襲った安藤陸人容疑者の「強烈な殺意」【豊田市19歳刺殺事件】
NEWSポストセブン
都内の日本料理店から出てきた2人
《交際6年で初2ショット》サッカー日本代表・南野拓実、柳ゆり菜と“もはや夫婦”なカップルコーデ「結婚ブーム」で機運高まる
NEWSポストセブン