スポーツ

ロッテは佐々木朗希を「本物の怪物」に育てられるのか

令和の怪物はロッテに

 かつて例のない高卒ドラ1が誕生した。未完の大器は「本物の怪物」へと進化できるのか。新著『投げない怪物 佐々木朗希と高校野球の新時代』で激変する高校球界の実情を描いたノンフィクションライター・柳川悠二氏がレポートする。

 * * *
 大船渡(岩手)の163キロ右腕・佐々木朗希の指名に踏み切ったのは、以前から公言していた北海道日本ハムを含むパ・リーグの4球団──。事前の情報戦では、過去最多に並ぶ8球団とも、それ以上とも噂されていた。他の投手に指名がばらけたというよりは、佐々木の育成に自信が持てない球団が指名を回避したと考えるべきだろう。千葉ロッテに交渉権が決まっても、表情を変えない佐々木はこう第一声を発した。

「これがスタートラインだと思います。千葉ロッテは、12球団で一番、応援が凄いかなと思う。自分の武器はストレートですが、これだけでは通用しない」

 この春から佐々木を追い続ける中で、私が最も衝撃を受けたのは韓国・機張で開催されたU-18野球W杯で目撃した一球だった。初の世界一に向け、負けられない韓国戦、初回の投球練習中の4球目だった。それまで脱力して投げていた佐々木が、突如、左足を高々と上げ、大きく体重を乗せて踏み出すと、目一杯に右腕を、鞭のようにしならせた。その球速は自身の最速(163キロ)に迫るものだったように見えた。

 160キロを超える直球は、150キロのボールと比べても、プロペラ機とジェット機ぐらいにスピード感が違う。固唾を飲んで怪物の初登板を待っていた韓国のファンも、思わず叫声を上げた。それほどまでに、佐々木のこの一球が異次元に映ったのだ。

 ところが佐々木はこの回を19球で投げきったところで、降板する。理由は右手中指の血マメの悪化。本人は詳細を明かさなかったが、私は“あの一球”で血マメが破れたのではないか、と推察している。降板する際、佐々木のユニフォームの右太もも部分は、血に染まっていた。163キロのボールは諸刃の剣だった。デリケートな身体だと自ら証明するように、世界の舞台でも不完全燃焼に終わってしまった。

関連記事

トピックス

小室圭さんの“イクメン化”を後押しする職場環境とは…?
《眞子さんのゆったりすぎるコートにマタニティ説浮上》小室圭さんの“イクメン”化待ったなし 勤務先の育休制度は「アメリカでは破格の待遇」
NEWSポストセブン
女性アイドルグループ・道玄坂69
女性アイドルグループ「道玄坂69」がメンバーの性被害を告発 “薬物のようなものを使用”加害者とされる有名ナンパ師が反論
NEWSポストセブン
遺体には電気ショックによる骨折、擦り傷などもみられた(Instagramより現在は削除済み)
《ロシア勾留中に死亡》「脳や眼球が摘出されていた」「電気ショックの火傷も…」行方不明のウクライナ女性記者(27)、返還された遺体に“激しい拷問の痕”
NEWSポストセブン
当時のスイカ頭とテンテン(c)「幽幻道士&来来!キョンシーズ コンプリートBDーBOX」発売:アット エンタテインメント
《“テンテン”のイメージが強すぎて…》キョンシー映画『幽幻道士』で一世風靡した天才子役の苦悩、女優復帰に立ちはだかった“かつての自分”と決別した理由「テンテン改名に未練はありません」
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
《ヤクザの“ドン”の葬儀》六代目山口組・司忍組長や「分裂抗争キーマン」ら大物ヤクザが稲川会・清田総裁の弔問に…「暴対法下の組葬のリアル」
NEWSポストセブン
1970~1990年代にかけてワイドショーで活躍した東海林さんは、御年90歳
《主人じゃなかったら“リポーターの東海林のり子”はいなかった》7年前に看取った夫「定年後に患ったアルコール依存症の闘病生活」子どものお弁当作りや家事を支えてくれて
NEWSポストセブン
テンテン(c)「幽幻道士&来来!キョンシーズ コンプリートBDーBOX」発売:アット エンタテインメント
《キョンシーブーム『幽幻道士』美少女子役テンテンの現在》7歳で挑んだ「チビクロとのキスシーン」の本音、キョンシーの“棺”が寝床だった過酷撮影
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKIが結婚することがわかった
女優・趣里の結婚相手は“結婚詐欺疑惑”BE:FIRST三山凌輝、父の水谷豊が娘に求める「恋愛のかたち」
NEWSポストセブン
タレントで医師の西川史子。SNSは1年3ヶ月間更新されていない(写真は2009年)
《脳出血で活動休止中・西川史子の現在》昨年末に「1億円マンション売却」、勤務先クリニックは休職、SNS投稿はストップ…復帰を目指して万全の体制でリハビリ
NEWSポストセブン
“凡ちゃん”こと大木凡人(ぼんど)さんにインタビュー
「仕事から帰ると家が空っぽに…」大木凡人さんが明かした13歳年下妻との“熟年離婚、部屋に残されていた1通の“手紙”
NEWSポストセブン
太田基裕に恋人が発覚(左:SNSより)
人気2.5次元俳優・太田基裕(38)が元国民的アイドルと“真剣同棲愛”「2人は絶妙な距離を空けて歩いていました」《プロアイドルならではの隠密デート》
NEWSポストセブン
『ザ・ノンフィクション』に出演し話題となった古着店オーナー・あいりさん
《“美女すぎる”でバズった下北沢の女子大生社長(20)》「お金、好きです」上京1年目で両親から借金して起業『ザ・ノンフィクション』に出演して「印象悪いよ」と言われたワケ
NEWSポストセブン