ライフ

吉野氏、山中氏ほか ノーベル賞受賞者が影響を受けた本

ノーベル化学賞を受賞した吉野彰さん(時事通信フォト)

 リチウムイオン電池の開発で2019年のノーベル化学賞を受賞した吉野彰氏(旭化成名誉フェロー)。受賞決定後の会見で、吉野氏が「科学への興味を持つきっかけになった本」として挙げたのが『ロウソクの科学』(ファラデー著)だった。

 会見直後から「子や孫に読ませたい」と出版社や書店に問い合わせが殺到し、版元各社は緊急重版を決定した。

 同書は19世紀イギリスの化学・物理学者、マイケル・ファラデーが子供向けに行なったロウソクの燃焼実験をまとめたもの。吉野氏はこの本を読み、「子供心に化学は面白そうだと思った」という。2016年にノーベル医学・生理学賞を受賞した大隅良典氏(東京工業大学栄誉教授)も、受賞時に「科学者を志すきっかけになった本」と紹介した。

「世界的な名著で、科学者の多くが子供の時に読んでいます。日本では複数の出版社から『ロウソクの科学』が刊行されており、最新版は写真入りで読みやすく、子供でも科学に興味が持ちやすい内容です」(サイエンス作家の竹内薫氏)

 2008年に物理学賞を受賞した益川敏英博士が「子供の頃に読んでいた」と紹介したのは月刊誌『子供の科学』だ。

 大正13年の創刊以来、90年以上にわたり科学好きの少年少女に愛されてきた同誌の愛読者には、白川英樹氏(2000年・化学賞)、小柴昌俊氏(2002年・物理学賞)といった歴代のノーベル賞受賞者がいる。前出・竹内氏は同誌をこう評する。

「通称は『子科』。実験に危険が伴う場合もきちんと説明し、論理的に分析する姿勢を養えます」

 iPS細胞の開発で2012年のノーベル医学・生理学賞を受賞した山中伸弥氏(京都大学教授)は、講演などで、幼少期に読んで影響を受けた本としてドイツのSF小説『宇宙英雄ローダン・シリーズ』を挙げている。書評家の大森望氏が同書について解説する。

関連キーワード

関連記事

トピックス

世界中でセレブら感度の高い人たちに流行中のアスレジャーファッション(左・日本のアスレジャーブランド「RUELLE」のInstagramより、右・Backgrid/アフロ)
《広瀬すずもピッタリスパッツを普段着で…》「カタチが見える服」と賛否両論の“アスレジャー”が日本でも流行の兆し、専門家は「新しいラグジュアリーという捉え方も」と解説
NEWSポストセブン
浅香さんの自宅から姿を消した内縁の夫・世志凡太氏
《長女が追悼コメント》「父と過ごした日々を誇りに…」老衰で死去の世志凡太さん(享年91)、同居するスリランカ人が自宅で発見
取締役の辞任を発表したフジ・メディア・ホールディングスとフジテレビ(共同通信社)
《辞任したフジ女性役員に「不適切経費問題」を直撃》社員からは疑問の声が噴出、フジは「ガバナンスの強化を図ってまいります」と回答
NEWSポストセブン
子宮体がんだったことを明かしたタレントの山瀬まみ
《“もう言葉を話すことはない”と医師が宣告》山瀬まみ「子宮体がん」「脳梗塞」からの復帰を支えた俳優・中上雅巳との夫婦同伴姿
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《12月1日がお誕生日》愛子さま、愛に包まれた24年 お宮参り、運動会、木登り、演奏会、運動会…これまでの歩み 
女性セブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(画像は日本のアスレジャーブランド、RUELLEのInstagramより)
《ぴったりレギンスで街歩き》外国人旅行者の“アスレジャー”ファッションに注意喚起〈多くの国では日常着として定着しているが、日本はそうではない〉
NEWSポストセブン
虐待があった田川市・松原保育園
《保育士10人が幼児を虐待》「麗奈は家で毎日泣いてた。追い詰められて…」逮捕された女性保育士(25)の夫が訴えた“園の職場環境”「ベテランがみんな辞めて頼れる人がおらんくなった」【福岡県田川市】
NEWSポストセブン
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
NEWSポストセブン
アスレジャースタイルで渋谷を歩く女性に街頭インタビュー(左はGettyImages、右はインタビューに応じた現役女子大生のユウコさん提供)
「同級生に笑われたこともある」現役女子大生(19)が「全身レギンス姿」で大学に通う理由…「海外ではだらしないとされる体型でも隠すことはない」日本に「アスレジャー」は定着するのか【海外で議論も】
NEWSポストセブン
中山美穂さんが亡くなってから1周忌が経とうとしている
《逝去から1年…いまだに叶わない墓参り》中山美穂さんが苦手にしていた意外な仕事「収録後に泣いて落ち込んでいました…」元事務所社長が明かした素顔
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)(Instagramより)
《俺のカラダにサインして!》お騒がせ金髪美女インフルエンサー(26)のバスが若い男性グループから襲撃被害、本人不在でも“警備員追加”の大混乱に
NEWSポストセブン
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏の人気座談会(撮影/山崎力夫)
【江本孟紀・中畑清・達川光男座談会1】阪神・日本シリーズ敗退の原因を分析 「2戦目の先発起用が勝敗を分けた」 中畑氏は絶不調だった大山悠輔に厳しい一言
週刊ポスト