ノーベル医学生理学賞を受賞した山中伸弥さん(時事通信フォト)

「1961年から現在まで続く世界最長の宇宙冒険SFで、複数の作家チームで執筆され、邦訳も600巻以上刊行されています。宇宙のスケールや異星文明との遭遇が中高生にもわかりやすく描かれています」

 また山中氏は、2019年7月に刊行された『まなの本棚』(芦田愛菜著)に収録された対談で「中学生の頃に影響を受けた本」として『地球の科学 大陸は移動する』(竹内均、上田誠也著)を紹介している。

「現代科学に基づいて地球規模の雄大な話を読みやすく説いています。『もしかして』という発想力や空想の大切さを気付かせてくれる一冊です」(竹内氏)

 ノーベル文学賞作家の大江健三郎氏は、著書『読む人間』で9歳の頃に母親からもらったマーク・トウェイン(19世紀のアメリカ人作家)の『ハックルベリー・フィンの冒けん』の影響を強く受けたと書いている。

 大江氏を特に引き付けたのは、主人公のハックが一緒に旅をする黒人奴隷のジムを裏切ろうとして思いとどまり「よし、僕は地獄へ行こう」と決心する場面だ。

〈地獄に行ってもいいから、ジムを裏切るまい、と考える。私が影響を受けたのはその一行です〉(大江健三郎『読む人間』より)

※週刊ポスト2019年11月22日号

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