一方、ワークマンの場合、全品目合わせて半年で736万点ですから、個々の単品の販売数量は当然のことながらウルトラライトダウンには遠く及ばないわけですが、それでもヒット商品なら5万点から10万点は確実に売れていると推測されます。
先日、知人の編集者が「自分と同じワークマンのアウトドアジャケットを着た人を街で何人も見かけるようになりました」と驚いた様子で知らせてきました。かつてのユニバレならぬ“ワークマン被り”とでも名付ければよいのでしょうか。
確かにワークマンの商品の中には、ファスナー部分が特徴的なデザインのフリース類やスキーウエア柄のようなウォームジャケットもあるため、街中や電車の中などで同じ色柄の服を着ていたら気付くでしょう。
それでは、どれほどの枚数を販売すれば被りが起きるのでしょうか。これには正式な統計はありません。現在のアパレル業界だと、価格帯にもよりますが、1万枚売れれば大ヒットといえます。しかし、1万枚くらいの販売量では街でほとんど被りません。
『人気店はバーゲンセールに頼らない』(齊藤孝浩著/中公新書ラクレ)によると、〈根拠は定かではないものの、10万枚作ると同じ服を着た人を街で見かける〉と考察されています。著者の経験からいっても、1万枚程度ではほとんど被らないことを考えると、かなり当たっているレベルではないでしょうか。最近のワークマンなら、ヒット商品を10万枚くらいは販売していると考えられますから、被りが起き始めても不思議ではないといえます。
では、ワークマン被りについて、着用している人はどう感じているのでしょうか。知人の編集者は「気恥ずかしさ」を感じたそうですが、確かにワークマンに限らずユニクロでもジーユーでも被った人を見ると何となく落ち着かない気持ちになります。