会場の外にはスーツ姿の一群が。手前は楽天を戦力外になった橋本到
現役を諦めきれない若手選手にとって、実は社会人野球の関係者から声をかけてもらうことこそ、現実的な“希望”なのだ。2017年7月に育成から支配下登録されるも、今年、楽天を戦力外となった22歳の八百板卓丸は率直な思いを口にした。
「今年は同い年の外野手(辰己涼介)が入って来て、競争に勝てなかったのだから、仕方ない。年齢がいってからだと社会人から声がかかることはない。野球を辞めたあとの人生を考えるなら、社会人野球は望ましいです」
そうしたなか、社会人球界に戻りたくても、戻れない選手もいる。ヤクルトの沼田拓巳だ。
「僕はドジャースとマイナー契約した時の問題があって……。野球を続けるなら独立か、NPBしかないんです」
沼田は社会人野球の在籍時に、ドジャースとマイナー契約したことが日本野球連盟から規約違反に問われ、除名処分に。アマチュア球界には戻れない。
トライアウトの現場には居場所を失った野球人の悲哀が満ちている。
「ワールドトライアウト」の加治佐平CEOの姿も
元メジャーの西岡剛は4打数無安打
森福允彦(前巨人)は2奪三振1四球
高木勇人(前西武)はNPB以外の道も模索する
森越祐人は出場選手中、唯一のHRでアピール
選手に熱視線を送るのは企業関係者の方が多い
■取材・文/柳川悠二 写真/山崎力夫
※週刊ポスト2019年11月29日号