◆教育現場を覆う“時間稼ぎ”の闇
近年、教育現場の“ブラック化”が叫ばれているように、人材不足の中で働く現場教師には様々な仕事の負担がのしかかっているのは確かだ。学習指導や成績記録簿作成だけでなく、部活対応や教育委員会への報告書作成提出など、教師がやるべき仕事は数え上げたらキリがない。近年、学校が半ば「サービス産業」と化し、過大な要求が保護者から突きつけられることもしょっちゅう。まさに疲弊しきった組織といえる。
しかし、だからといってハラスメントを繰り返す問題教師の行動や行為を見過ごしていいわけではない。その状況を正確に把握し,改善する役割を担う副校長や校長の管理責任者としての責任は教師以上に重いといえる。ところが実態は、責任回避の行動があまりにも多い。
学校現場の運営は、校長や副校長を頂点とした管理職が担っているが、たとえば学校内で教員が問題を起こした場合、校長や副校長の管理職としての責任が問われて評価に傷がつけば、その先の昇格(教育委員会等)にも影響を与えかねない。そこで、彼らが取る対策は、ポーズだけの口頭注意を続けて教員の定時異動を待つという“時間稼ぎ”だ。
子供間のいじめや暴力問題なども同じ図式だ。会社と違い数年で子供たちは入れ替わるため、この間も耐えて問題を大きくすることを避ける。学校内の隠蔽体質は、いわば管理者が自分の在任中は事を荒立てたくないという「事なかれ主義」が蔓延しているものと考えられる。