親や教師でSNSを使っていない人も多くいる。実際にどういうものなのか体感したことがなければ、その危険性を子供に教え諭すことは難しい。幼い子供に良からぬことをしようとたくらむ人間は、そうした親子のすき間を突いてくるのだ。
ツイッター、インスタグラム、TikTokなど次々に新しいSNSが登場し、新たな犯罪の温床になっている。学生限定のSNS「ひま部」でも児童ポルノ被害などが報告されている。ツイッターには13歳(アンドロイド)、17歳(iOS)といった年齢制限があり、「ひま部」も学生限定と謳ってはいるが、年齢認証を厳格に行っているわけではないため年齢を偽って利用できてしまう。
日々新しく登場してくるSNSを子供が使いたいと言い出したとき、親はどのように対応していけばいいのか。遠藤氏はこう提案する。
「親が『私、40歳だけど、ひま部に学生と偽って登録してみようかな』といってみて、子供が匿名での利用についてどういう反応をするか。『そんなのダメだよ』と言えば『でも、この大学生っていう人も40代かもしれないよね?』というふうに、突っ込んだ話し合いをすること。
『お母さんもネットで知り合った人と会って、監禁されたらどうしよう』と立場を逆転させて客観的にイメージさせ、家族の心配や不安など、どんな気持ちになるか感じてもらったり、先に起こることを想像させることで、本人にちゃんとした危機感を持たせることです」
もちろん、SNSは負の側面だけではない。不登校の子同士が知り合って、学校にはいなくてもネットを介して友だちができたりする。励まし合いながら自宅で勉強ができ、救われたというケースもある。「今どきのネット事情にはついていけない」と諦めないで、親もSNSについて勉強する必要がありそうだ。
●取材・文/岸川貴文(フリーライター)