細野:まず、今は超低金利で、マイナス金利といった通常はあり得ない状況まで生まれていますよね。そのためローンなどの借金も非常に低い金利で借りられるんです。しかも「変動金利」は、「今の金利」が反映されているから、異常なほど安い状況なんですよね。だから、今は月々約5万円の返済で済んでいるんです。
Nさん:つまり今の月5万円という金額は、ずっと決まっているのではないんですか?
細野:まさに、その通りで、景気が良くなったりして世の中の金利が上がるようになれば、借金の金利も上がっていきます。つまり今から25年後も今のように超低金利である保証なんて一切なくて、普通に金利が上がると、変動金利の場合は返済額も増えていくんです。例えば2000万円を35年ローンで借りたら、今なら変動金利だと金利0・5%程度で済むので、月々5万1917円を払い続ければいい、という結果になります。ただ、普通に金利が3%に上がるだけで、月々7万6970円に増えてしまうのです。
Nさん:金利が上がると、随分と返済額って増えるんですね。これだと、老後は心配になってしまいますね…。
細野:はい。金利が2.5%違うだけで、毎月の返済分は2万5000円も違ってきます。1年間だと30万円の違いなので、もしも5年後に金利がそうなると、残りの20年は600万円以上も借金が増えることになりますね。
Nさん:今までずっと低金利の状態だったから、この先もずっとそうなる気がしていましたが、これは自己責任で、何の保証もないんですね。
細野:そうなんです。だから、月々の返済額は高くなってしまいますが、「固定金利」にする、という手もありますね。この「固定金利」の場合は、もしも世の中の金利が上がろうと、ずっと「固定」されているものなので、今だと、超低金利だから、35年ローンだと金利1.5%くらいで借りられます。この場合は将来、急激に金利が上がっても大丈夫で「リスクを固定できる」といったメリットもありますね。
Nさん:早めに銀行で、ちゃんと相談しないと、ですね! 月々5万円の返済で大丈夫、と頭が止まっていました…。
細野:まず、せっかく『家計ノート』を10年もつけていて「収支」を計算していないのは、ものすごく損をしていたんです。もしキチンと収支まで考えていたら「この状態なら、負担になる住宅ローンは、今回はこれだけ減らせるな」とか目標を自然に考えることができていたのですから。でも、まだ間に合うので、毎月の収支を考える「貯金体質」に変えて、少しでも余裕ができたら、すぐ「借金の返済」に充ててしまいましょうね。
◆超金利時代の家計の心得
預金は増えにくいのに借金の金利は意外と負担に。
高いリスクの変動金利は最速で返済を目指そう!
【プロフィール】
細野真宏●日常よく目にする経済のニュースをわかりやすく解説した“細野経済シリーズ”が、経済本で日本初のミリオンセラーとなり、ビジネス書のベストセラーランキングで「123週ベスト10入り」を記録した。首相管轄の「社会保障国民会議」などの委員も務め、金融・経済教育の重要性を世に問い続けている。
※女性セブン2020年1月1日号