もう1つの理由は、さんまさんが世間の印象以上にユーティリティなタレントだから。
さんまさんと言えば、「しゃべりっぱなし」「人の話を聞かない」「自分大好き」「オレがオレが」という印象を抱かれがちですが、実際は「そういう一面もある」というだけで、一歩引いて他の出演者を生かすことにも長けています。
だからMCとしての出演だけでなく、所ジョージさんの『笑ってコラえて!』や、雨上がり決死隊・蛍原徹さんの『アメトーーク!』にもゲストとして出演できますし、『ご長寿グランプリ』でも高齢者を前面に押し出して一歩引いたポジションを取っています。
長年トップを張り続けてきても飽きられていないわけですから、12日間で9本の特番に出演する今年の年の瀬も、難なく結果を出してしまうでしょう。さらに、特番だけでなく『お笑い向上委員会』(フジテレビ系)のレギュラー放送をいつも通りサラッとこなしてしまうのも、さんまさんらしいところ。「過密スケジュールの中で、特番と通常放送のテンションを上げ下げできる」という意味でも、作り手にとってこれ以上ないほど頼もしい存在なのです。
令和時代になってもしばらくの間は、「明石家さんまの特番を見て大みそかを迎える」という形が続くのではないでしょうか。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本超のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。