本書はイギリスにおける「移民」と「人種」をテーマとするエッセイのアンソロジーである。さまざまな分野で活躍する「黒人、アジア系、エスニック・マイノリティ」の二十一人の執筆者が、生い立ちや家族の歴史、日々の生活で受ける偏見や差別、仕事で直面する不安、戸惑いや哀しみとともに、未来への希望も語られる。今日のイギリス社会で「有色人」として生きることとは、どういうことなのかを、つぶさに描き出す。
「移民」としてくくられる彼ら、彼女らが、それぞれに自分自身の物語をつむぐ。その多彩な人生を読みすすむうちに、日本にも多く暮らす多様な背景を持つ外国出身者たち個々の話に耳を傾け、語り合いたいと思うのだ。
※週刊ポスト2020年1月3・10日号