2019年5月に引退した元巨人の上原浩治氏(44)は、かつて巨人で同僚だった工藤公康氏(現ソフトバンク監督)から「球種を増やすのではなく、いま持っている球を磨け」という教えを受け、それが現役生活を長く続けられた理由だと語っている。そしてもうひとつ、上原氏は工藤氏から重要な教え受けていた。引退までの心の動きを綴った著書『OVER 結果と向き合う勇気』を上梓した上原氏が、工藤氏からの教えと、今なお現役を続ける西武ライオンズ・松坂大輔(39)への思いを語る。
上原:工藤さんは「年齢を重ねるほど練習時間は長く、オフの休養は短く」とも話していました。ベテランはオフに体をしっかり休めるのが当たり前だった時代に、人一倍体を動かし続けたから、工藤さんの実働29年の現役生活はあったんだと思います。
だから僕もファームでは誰よりも早くグラウンドに出て準備をしたし、オフも年々短くなって、40歳を過ぎてからは1週間ほどしか休みませんでした。(松坂)大輔はまだ39歳でしょ? 彼にはこれからも現役にこだわってやってほしいと思いますよ。野球が心底好きなヤツやから、まだまだやれると思います。
僕が引退を決めた時にはLINEを送りました。長い文章じゃないですけど、「明日、引退会見をするから」って。大輔からは「正直、寂しいです」という返信が返ってきました。僕がそうでしたけど、野球が好きだからボロボロでも現役でいたいわけで、好きじゃなかったら続けることはできない。
もちろん戦力として認められるかどうかはあくまでも第三者の評価ですけど、球団から必要とされているんだったらぜひ1年でも長く続けてほしい。