著書『校則なくした中学校 たったひとつの校長ルール』が話題の西郷孝彦さん(右から2番目、撮影/浅野剛)

「今までいろんな学校を見てきましたが、桜丘中は子どもたちが主役になっていて、みんなが自立しています。なかには“こんな自由すぎる学校では、社会に出て役に立たないんじゃないか”と批判する人がいますが、それは違います。学校とは本来、社会に出ていくためのトレーニングの場。社会や企業に適応する子どもをつくるのではなく、子どもが学校で学んだことをいかせる社会をつくるのが本来のあり方です」(尾木さん)

 登壇者の3人目は、東京・麻布学園理事長の吉原毅さん。同校は中高一貫校の名門校として知られる。一方で吉原さんは、経済界にも身を置く。

「なぜ中・高で管理教育がはびこるのか。それは、人を競わせて評価し、飴と鞭を使って脅し、ルール違反は処罰・管理する、というのが楽だからです。多くの日本企業も同じですが、これでは人間がどんどんダメになる」(吉原さん)

◆管理教育がいじめを生む

 世の親の学校への不安は尽きない。例えば中学校入学直前の子どもの保護者を対象にした調査では、保護者の63.2%が「人間関係(いじめ)」、47.2%が「成績(学力)」について不安だと答えている(学研教育総合研究所「小学生白書Web版2014年調査」)。

 実はこの「いじめ」の要因こそ、“規則や管理”だと登壇者は声をそろえる。

「自分たちのルールや規則から外れた人間がいると“あいつだけズルい”と言って集中攻撃する。それがいじめです。規則はいじめの道具になってしまっています」(吉原さん)

「学校現場のいじめ問題に35年かかわっていますが、最近は、自分がいじめたという加害者の意識が希薄になっている。先生がいつも言っていることを同じように自分も言っているだけで、正義感から注意しただけと本気で思っている。ルールや規則があればあるほど、いじめは発生しやすいのです」(尾木さん)

 桜丘中学校でも、1年生の間は、いじめが起こることもある。

「みんなと同じであることを強制されてきた小学校教育がそうさせるのでしょう。でも、桜丘中で過ごすうちに“自分で考える力”を身につけた子どもたちは、学年が上がるにつれ、人間関係のすれ違いはあっても、いじめはなくなります」(西郷さん)

『校則なくした中学校 たったひとつの校長ルール 定期テストも制服も、いじめも不登校もない!笑顔あふれる学び舎はこうしてつくられた』
(西郷孝彦著、小学館、1400円)

 西郷さんが40年間の教員生活でたどり着いた子ども主体の学校づくりについてまとめた一冊。尾木さんが推薦文を寄せ、本著に感銘を受けたという吉原さんは購入して麻布学園の教員らに配ったそう。

※女性セブン2020年1月2・9日号

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