サンケイリビングの編集長を務めた参議院議員山谷えり子も、二〇一一年一月八日付産経新聞で「次世代へ美しい糸を」と題し、こんなことを書いている。
「数え年と満年齢と、誰もが年齢を2つの数え方で確認し合っていたのはいつの頃までだったろうか。日本人は、母親のおなかの中に授かったときから、生命の存在を尊く考えていた。だから西洋のように誕生してから“0(ゼロ)歳”とは数えず、歳神さまとともに“1歳”と数えたのである」
0は古代インドで発明され、西洋で広く使われるようになったのは四、五百年前からだとされる。西洋人は既に中世から「0歳」と数えていたのだろうか。真逆。また、日本で「誰もが年齢を2つの数え方で確認し合っていた」のは、義務教育が始まる明治十二年前後から昭和戦後期までの七十年間ほどだろう。江戸時代の人や平安時代の人がそんなことをしていたはずがない。そもそも数え年しかなかったのである。
◆基数詞と序数詞
では、数え年とは何か、満年齢とは何か。
中学の英語の授業で数詞には二種類のものがあると習ったはずだ。一つは基数詞。one two threeなどで量を表わす。もう一つは序数詞(順序数詞とも言う)。first second thirdなどで順序を表わす。
満年齢は基数詞で、生きてきた「量」を表わす。数え年は序数詞で、生まれた「順序」を表わす。この違いなのである。