●小黒一正氏(法政大学経済学部教授・自費派)
ED治療薬の場合、少子化対策として20~40代の若年層への処方は保険適用の検討余地があるが、基本的に高年齢層の検討余地はない。
保険適用の基本的な考え方は、「大きなリスクは『共助』、小さなリスクは『自助』」。すなわち命にかかわるとか生活上非常に困るような病気で、家計への負担が大きい場合は保険適用にし、それ以外は保険適用外か自己負担を増やすのが筋である。本来なら湿布薬なども保険適用から外すべきだろう。
もっとも、子供を欲しいと願っている若い夫婦が週に2~3回、1錠1500円の錠剤を服用する場合、年間のコストは15万6000~23万4000円。このような負担については一定の軽減の余地がある可能性がある。だが高齢者の場合は若年層とは区別して考える必要がある。
※週刊ポスト2020年1月17・24日号